■官報で艦砲射撃のことが漢方の広告の横に出てた



戦艦などの主砲射撃は、ライフルやピストルで直接狙うようなわけにはいかない、
というあたりは、例の「丸い地球大戦争」で既に説明したね

「…あ、ああ、あれね、ははは、知ってる、知ってる」

…ちなみに、このお話では長距離砲撃戦を20km以上の距離としておくよ。

「なんで?」

例の水平線視界の問題と、各海軍が想定していた砲撃戦距離から出した数字だ。
自分で言うのもなんだが、極めて妥当な数字だと思うぞ。
で、とりあえず、長距離砲撃戦で、照準に必要な要素は以下の通り。

■チョー基本的な情報

●目標艦の進行方向

●同じく目標艦までの距離

●その二つから計算で求める目標艦の速度

●自分の速度と進行方向



で、図にするとこうだ。



「…またいい加減な図…」

とりあえず、内容が把握できりゃいいのさ。
で、実は我こと自艦の進行方向と速度は今回は考えない。
実際には、これを0と見なせるような計算を行って、
静止点からの観測と同じような状況に持ち込むんだが、
別に戦争に行くための準備してるんじゃないんだ、
全部をキチンと計算する必要なんてどこにもない。
よって、最初から、静止点として考えてしまえばいい。

「手ぬき?」

…合理的精神と言いたまえ。
なので、問題になるのは相手までの距離、
そして自艦と目標の間に引いた直線を基準とした場合の
相手の進行方向、つまり方位角となる。
そして、これらの測定結果から、相手の速度を計算するのさ。

「なんで?」

これらが、相手の未来位置を知るのに絶対必要な情報だからだよ。



長距離射撃の場合、砲弾の目標到達までに時間がかかる。
だから、射撃時に見える位置に狙いをあわせても当たらないのさ。

初速で750m/s近い速度を持つ戦艦主砲だが、
平均時速で2000kmとしても、20kmで約37秒、30kmだと到達まで約55秒もかかる。
まあ、いつぞやの魚雷戦に比べればカワイイものだが、
それでも戦闘行動中の軍用艦は時速40km(遅い方で)近くは出してるから、
37秒あれば約410m前後、55秒あれば610m前後も移動してしまう。
だから、今見てる位置になんぼ弾を撃ち込んでもあたらない。
だから、その照準は、

1.相手の位置、進行方向、そして速度を知る

2.距離から砲弾の到達時間を見積もる

3.その到達時間と現在位置&速度から相手の未来位置を計算する

4.そして秘密のスパイスを加えて出てきた位置を狙う


というステップになる。
ちなみに速度の計算は2回の測距が必要なんだが、
ここら辺は既に魚雷戦の話でイヤンというほどやったから、
今回はパスしますよ。

「なんだよ、最後の秘密のスパイスって」

まあ、とりあえず、次はそれを見て行こうか。

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