今度は斜め前から。
左右の主翼にはそれぞれブローニング7.7mm機関銃4門の穴が開いてます。
スピットは主翼ごと換装する事で武装が変わるんですが、この機体のは初期のA型翼。

で、バトル オブ ブリテンの途中から7.7mだけでは爆撃機はなかなか落ちない、という事が判明、
7.7mmを片側2門に減らして20mm機関砲を2門追加したB翼が登場します。
このムチャクチャな重武装も容量に余裕がある楕円翼のおかげですね。

さらにはC翼、E翼などの主翼も出てくるのですが、そこら辺りの話はこちらを見てください。

機関銃の銃口部になにか紙が貼られた跡がありますが、あれは機関銃保護用のシールの残り。
これは地上でプロペラを回してホコリが立つと、これが機銃の中に入って故障の原因になることが多かったため、
地上では機銃の銃口部に紙のシールを貼って異物の進入を防いでいたもの。
当然、ただの紙ですから、機銃を撃てば、簡単に破けてしまいます。



もう少しアップで。
フィッシュテイルと呼ばれた推力排気管、例の主翼補強用材などの形状がよく見えます。

その補強材の横にわずかな凸部がありますが、これはおそらく斜めに収容されてる車輪が
わずかにはみ出してしまうのを収容するためのカバーだと思います。
(スピットの場合、車輪は水平ではなく傾いて主翼内に折り込まれる)
ちなみにこれ、あまりにわずかなもので、当時のほとんどの写真で確認できませんが、
間違いなくMk.V(5)まではあったものです。

主翼付け根にあるもう一つの穴は機関銃のものではなく、
左翼のみにあったガンカメラの取り付け部。
機関銃の引き金に反応して回るカメラで、撃墜判定などに使われました。

コクピット正面のガラスは分厚い防弾ガラスなので、かなり狭いのにも注目。
視界は悪かったでしょうが、命には代えられん、というとこでしょうか。



ちなみにこれがスピットの防弾ガラス。
ロンドンのRAF博物館で展示されてるものです。

1940年9月、バトル オブ ブリテンの終盤に飛んできたHe111H-3との空中戦で銃撃を受けたもので、
左側に7.92mmが1発入ってるみたいです。
防弾ガラスが無ければパイロットはほぼ即死だったんじゃないでしょうか。
とはいえ、これも展示ではテープで補強が必要なほど破壊されており、
ドイツの13mmクラスの銃弾だとさすがに持たなかったと思われます。
大戦中盤以降は、無いよりマシ、といった装備だったかもしれません。


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