お次は尾翼部をアップで。
垂直尾翼の舵面のやや下にポチっと付いてるのは尾灯。

注目点は主翼後部の付け根部分。
妙に複雑な曲線を描いて胴体と繋がっているのが見えると思います。
なんらかの空力的効果を狙ったのか、
あるいは単に胴体を絞りすぎて主翼との隙間が大きくなり、
こんな構造になってしまったのか、よく判りませぬが。

ついでながらこうして見るとキャノピー、意外に後方視界、ありそうにも見えますね。
さらについでに、例のフィッシュテール排気管の飛び出しっぷりも再度見ておいてください。



下から見るとこんな感じ。
先に見た主翼後端部と胴体との接合部の複雑な形状に合わせて
わざわざフラップが別パーツになってるのが確認できます。

尾翼に向けてぎゅっと絞り込まれるデザインは、
レーサー機の設計で鳴らしたミッチェルらしい形状でしょうかね。



水平尾翼も楕円翼になってるのがよく判ります。
後端部の切り欠きはエレベーター(昇降舵)のタブ。
中央部のVの字型の切り欠きは先に説明したように、
垂直尾翼の舵面が左右に動くための隙間です。



少し斜め下から。
出しっぱなしの尾輪ですが、キチンとカバーが付いて、少し後ろに傾いてるのがわかるかと。
最低限の空気抵抗対策はされてるようです。
水平尾翼の真下に、垂直尾翼の舵面を動かすロッドが飛び出してるのも見て取れます。
結構、無骨な構造です。

ついでに、その舵面は骨組みが浮き出していて、金属(ジュラルミン)製の骨組みに、
羽布を貼り付けた構造なのが見て取れます。
当時の動翼としては標準的な構造ですが、さすがにタダの布では耐久性に問題があるので、
ドープ(DOPE)と呼ばれる一種のニスで塗り固めています。



尾翼部を上から。
尾翼前の固定用金具は、後から強引に取り付けてしまったものに見えますが、詳細は不明。
ちなみにスピットファイアの胴体はここから尾翼部が取り外せる構造になってるので、
それを利用したものかもしれません。

この写真ではちょっと見づらいですが、水平尾翼表面は枕頭鋲でツルツルなのに対して、
胴体後部は普通にリベット頭剥き出しの状態になってます。
少なくともMk.V(5)までは、この構造でしたから、時速600km/h以下でなら、
まず問題なかったんでしょう。
というか、こういった細かい空理気的な工夫より(抵抗の力を下げる)、
単純にエンジン馬力(厳密にはプロペラが空気を押す推進の力)を上げる方が、
航空機の速度に取っては意味が大きい感じがしますね。

水平尾翼後ろの昇降舵(エレベータ)のタブを動かすロッド、
垂直尾翼上のアンテナ線の取り付け部(絶縁体?)の形状もよく判ると思うので、
せっかくなので見ておいてくださいませ。


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