■レーダーを壊したのは、だレーダー


レーダーの解像度の向上、つまり情報精度を上げるカギは
レーダーの高周波化だ、という事は繰り返し書いてきた。
ここでは、それはなぜか?を必要以上にフレンドリーな図解で見ていこう。

「フレンドリー?」

そう、リーさんの友達だ。

「…さっさと本題に入ろうぜ」






まずは極めて大雑把なレーダーの概念図。
これは前にも一度やったが、念のため確認。
青いブロックが各レーダー波の波の大きさだ。
これが小さければ小さいほど、その精度は上がる、という話だね。
それはなぜか?を考えて行くぞ。

「えらく適当だけど、遠くに行くにつれてレーダー波が広がってるよね」

その通りだ。
今回もまた事前談合でもあったかのような適切なコメントをありがとう。
一方で電波の長さ、波長は変わらないのに注目…ってこの図だと
だんだん長くなってるように見えるな…。まあ、とにかく波長は変わらない。
なのでレーダーで遠距離探査をやる場合、
その精度の壁になるのは「ビーム幅の広がり」の方なのさ。
ちなみにビーム幅は場所によって変わるので、一般に
レーダー位置からの角度で示される。
(ただし、最終的には広がるのをやめ、中心線にむけ収束する)




で、実際のレーダーは連続した波ではなく、
単発で、つまりパルスとして電波を打ち出し、
一定時間待ってから、ようやく次の波を打ち出す。
よって、正確には上のようなイメージで考える必要がある。
普通の連続波だと、いつ打ち出した波の反射だったのか特定ができないから、
目標までの正確な距離が求められない。
それを避けるために単発のパルス波を使うんだ。

ちなみに、本来レーダー波は幅、奥行き、高さを持つのだが、
話を単純にするために、今回は長さと奥行きだけ、高さは考えないで置こう。

…ペロ君、合理的な思考と言いたまえ。

「誰も何も言ってないよ」

…うむ、ならばよし。
で、図を見ると、パルス幅(波長)とビーム幅、この二つが
レーダー波の大きさを決定しているのがわかるだろう。

パルス幅が目標より大きいと回折という現象が起きて、
そもそも電波の反射が起こらないから、
レーダーとして役に立たない、という話は既にした
この点、アメリカ海軍に限って言えば、最長のパルス幅(波長)を持つ
CMXAですら200MHzで1.5m波。
まあ、ソ連の地雷犬とかを別にすれば、大抵の兵器は
十分検知可能な性能を持つ。

「じゃあ、いいじゃん」

が、これだけじゃだめなのさ。
単に反射するだけでなく、より正確に反射する必要がある。
そのためにさらなる高周波化が必要だったんだ。


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