■よしみつの寺



長野市にもどったら、本日の宿、善光寺の宿坊に向かいます。
善光寺は寺と言う名の民間信仰の集大成、と考えるのが一番わかり易い施設です。
その組織も結構、不思議なとこがあります。

山内に、この善光寺を構成する小さなお寺がいくつも散在するのですが、
これには“〜院”という名のと“〜坊”と呼ばれる2タイプのものが存在します。
この二つの違いは、前者が天台宗(つまり比叡山)のお寺、後者が浄土宗のお寺でなんですね。

あくまで個人的な私見ですが、仏教大学とでもいうべき、
理論派仏教(ただし江戸期以降はしらん)である天台宗と、
ナンマイダーと唱えさえすれば、エブリバディ ビー ハッピーね、という典型的な
民間信仰仏教である両派が一緒にやってけるもんなんでしょうか(笑)。

アメリカ行ってMBAの資格取ってきた秀才と、
地元のヤリ手の土建屋のオヤジが共同経営で会社を運営してゆくようなもんでしょうに。

おそらく、その対策としてか、浄土宗側のトップには代々、皇族の女性がつきます。
つまり、浄土宗側の頂点は尼寺なんですが、
ここら辺は、どうも私が考える以上に複雑な感じなので、深入りはしません。

まあ、天台宗と浄土宗が共同で経営してる、と覚えておいてください。



せっかく来たので、お参りしないと。
三連休ということもあってか、かなりの人出がありました。

奥に見えてるのは、確か山門で、つい最近、修繕が終わったそうな。



その山門から本堂を望む。
本堂は国宝で、正面から見ると普通ですが、奥行きがめちゃくちゃあったりします。

実は真上から見ると、十字架になってるんですが、これは江戸初期に流行った構造らしく、
上野の東照宮、根津神社とかも、同じようなデザインです。
時期的に、教会建築の影響があっても不思議はありませんが、ノーコメントとします。

ついでに、ここは寺の創設者の3人を本堂内に祭ってます(その一人がヨシミツ、つまり善光)。
これは、一種の神社です。
本堂内に寺としての本尊と、神社の機能が共存してる、
というのは江戸期には普通にあったのですが、明治に行われたアンポンタン政策、
神仏分離令によって、日本中で神様はお寺の本堂から放り出される事になり、
ほとんど見られなくなってしまいます。
(逆のケースも多数あり)

東京の浅草寺に、本堂の横に小さな浅草神社があるのは、追い出された神様
(実は浅草の神様もお寺の創設者で、しかも3人)がそっちに移ったからなんですね。
そういや、浅草寺も戦前までは天台宗だったな。

これほどの規模の寺社で、21世紀の今に至るまで、
江戸期と同じ祭壇を持ってる、というのは、それなりに貴重なような気がします。



境内にある、森永乳業から送られた牛の像と、見つめられて困ってる観光客の人。
ちなみに左が善子さん、右が光子さん。ホルスタイン、メス、寺でがんばってます。



えーと、門です。どこだかはわかりません…

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