■ご本人登場
でもって、施設の一番奥、この潜水調査船整備工場なる建物に、
本物のしんかい6500閣下はいらっしゃるのでした。
居ました。
わずか3人乗りなんですが、結構大きいな、という印象。
ついでに専用工作台のようなものに乗ってるのか、と思ってましたが、
意外に気さくにゴロンと置いてありました。
が、そこは実機、本気で水深6500mに潜るつもりだ、という説得力の密度がありにけり。
とにかく人気が高く、常に人だかりが。
このため最後までまともな写真は結局撮れず…。
く…、こんなところで神奈川県の娯楽力の低さの影響が…
尾部に書かれたマークは今年で完成から25年を祝うもので、
どうもこの公開日にのみ付けられたスペシャルマーキングらしいです。
2012年の改修時で既に1300回を超える潜水を行ってたそうなので、
相当使い込まれてはいますね。
ちなみに建造当時のお値段は、F-15戦闘機とほぼ同じくらいだったとか。
正面から見ると意外に愛嬌がありにけり。
正面下、銀色の丸い部分は覗き窓で、これが耐圧殻(後述)に3つ付いてます。
その左右に上からぶら下がってるのは各種カメラ類。
動画はハイビジョンカメラとなってるそうな。
ちなみに6500mの深海までだと、潜るのにも浮上するにも2時間半かかるそうで、
ざっと時速2.6kmですから、歩くより遅い、という世界です。
なるほど深海は遠いな、という感じがします。
横から見ると艦首に神奈川県のマークが。
なんで?と思ったら沈むまでは海上船舶扱いなので、所属自治体の認可が居るんだとか。
ちなみに外板は隙間だらけ、それどころか上には穴まで開いてます。
水は漏れまくりで、これは軍用潜水艦と同じ構造ですね。
水密を保つのはこの中にある耐圧部(後述)だけで、この外板は単なるカバー、
ぺらぺらの薄い板過ぎません。
なので内部に水を入れて水圧で潰されるのを防ぎます。
(内部も外部と同じ水圧の水で満たされれば、当然ながら潰れない)
が、逆に考えると高速移動する必要がない調査用潜水艦に、
ここまで全体にカバーを付ける必要があるのか、という素朴な疑問も…
オートバイのカウルみたいなものですから、流体の抵抗が問題にならないなら、
各部はむき出し状態でも、基本的には問題ないような気がしますが。
水の場合、空気よりはるかに粘度が高いので、低速でもカバーが必須なんでしょうかね。
ちなみにこれが、しんかい6500の基本構造。
船首部にある内径2mの操縦席部だけが耐圧殻で、ここは完全水密が保たれています。
軍用潜水艦だと機関部なども耐圧殻の中に入れるのですが、
深海6500mともなると、そんな巨大な耐圧殻は作れないようで、
人間が生存できる最低限の空間だけを確保、それ以外は水没部分に置いてるようです。
(メインのバラストタンクは深海潜水中は常に海水で満たされるため対水圧の問題は無い。
モーター、電池、補助バラストタンクなどの内部は何らかの水圧対策をしてるはずだが詳細不明)
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