■そはハリネズミのごとし
艦橋周りを見て行きましょうか。
これ76.2mm連装砲ですが、どうもオリジナルまんまのような。
兵器付きでロシアが売却しちゃったのか、後から中国海軍のをくっつけちゃったのか…
いずれにせよ、ここ、民間施設なんですけど…。
その下、例のステージ跡の陰になってますが(涙)、これがミンスクの二つ目のエレベータ。
こちらは撤去されてませんでした。
艦橋横のに比べると小型なんで、武装運搬用かなとも思うんですが、
それにしちゃ逆にデカ過ぎる。
おそらくローターたたんだヘリとかなら、これで運べたんでしょうかね。
艦橋の左側には艦首から艦尾まで、なぞのレールが。
何かの運搬用でしょうが、詳細不明。
向こうに置いてあるのはクレーン。
取り外されてしまったのか、劣化によって落っこちたのか…
と思ったら現役時代でも、とりはずして甲板に転がしてあった、と帰国後発見する。
あれま。
どうも前部甲板にあるミサイル類の運搬用らしいのですが、
そういうもんなんだ…。
で、76.2mm(つまり3インチ)連装砲。
オリジナルか後から積んだものかは不明ですが、これはAK-726でしょうね。
1960年代初頭に開発されたもので、レーダーによる対空管制システムと連動し、
最大射程18km、有効高度500m〜6000mといった性能でした。
余談ですが、旧ソ連海軍は、意外にシャレてる部分があり(笑)、
平時、使わないときに水が入ったりしないようにする銃口部のフタは
赤い星型だったんですけど(全部が全部かは微妙)、さすがに
これにはついてませんでした。ちょっと残念。
艦橋後部の対空ミサイル。説明板によればSA-N3…て、
それはNATO名称(NATO Reporting
Name)ではないですか。
ここ中国なんだから、もう少しソ連にやさしくしてあげましょうよ(涙)…。
冷戦期にはソ連の兵器の正式名称が判明するより先に
現物が偵察機や偵察衛星で見つかる事が多く、さらに多国籍軍であるNATO各国間で、
発音が聞き取りやすく、識別もしやすい名前が必要とされたため、
ソ連の各種兵器には、NATOによる一種のニックネームが与えられていました。
このミサイルの場合、SA-N3 ゴブレット(ワイングラス…)がそれで、
ソ連における正式名称はM11 シュトームだったようです。
ただし、現ロシア国防省のミサイル大砲主局
(ГРАУ、米軍文書では一般にGRAUと表記される)
は独自の名称を別に持っており、そこでは4K60の呼称が使われてます。
(後の改良型が4K65)
1960年代中盤以降に配備が始まってますから、
この船の現役時でも、最新兵器とは言いがたい部分がありますね。
で、これどこまでオリジナルかは微妙なんですが、とりあえず、
周囲に自動装填関係のシステムは全く見受けられず。スペースもない。
このM11は再装填可能な装置のはずで、本来なら各ミサイルの下に、
次のミサイルが出てくるハッチがそれぞれあるはずなんですが…。
…2発撃っちゃったらオシマイ、なのか。
(ミサイル本体は、無論、ハリボテのダミー)
ただ、鮮明な写真がないので断言はできませんが、
どうも現役時にはちゃんとハッチ、あったようにも見えます。
取り外されてしまった、という事でしょうかね。
ちなみに、同じ装置が艦首部にも一基あるですが、
こちらにはちゃんとミサイル給弾(?)ハッチが残ってます。
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