■市場から抜ける道



そこで展示されていたスイカやらメロンやらよくわからんフルーツやら。
で、立てられてるノボリが日本語でして、どうも“日本産の高級フルーツ”という宣伝らしいです。
でもなあ、ベラボーと言っていい値段の日本の農産物を輸入して、ワリにあうのかなあ…。
右のノボリ、なぜに青果市場であんみつ姫?

が、よく見ると左のメロンのノボリには「北海道とままえ」「JAとままえ町」の字が。
…とままえ?さらによく見ると、その下には熊がメロンを担ぎ上げてるイラストも。
…あれ?

熊?とままえ?…あ、あああああ、とままえって、あの苫前か?
するとこれ、ホンモノか。いや、ノボリだけホンモノでメロンは香港産という可能性も(笑)。
でも、2個のスイカの前、わずかに1個しかメロンは置かれてない。
うーん、この高級品扱いはやっぱりホンモノですかね…。

で、「とままえ」のノボリを見て驚いたのは、メロンとは関係なく、
そのノボリに熊のイラストがあったから。
少なくともこのノボリは、ホントに日本の北海道、苫前町のものだと思われます。
香港の人に、苫前と熊を結びつけるだけの知識はないでしょう。
が、だとすると、どういうブラックジョークなのか、理解に苦しむところなのです。

この町は近代日本で最悪と言っていい野生動物による人間殺傷事件となった、
1915年の苫前熊事件の舞台となった場所です。

吉村昭さんの小説、熊嵐で知られるこの事件では、
たった一頭の熊に入植村が連続して襲撃され、数日の内に
死者7人を出す人間側の一方的な敗北、惨劇と言っていい状況となります。
最後には、この一頭の熊のために、陸軍歩兵連隊まで投入されるのです。
(結局、最後にその熊を仕留めたのは一人のマタギでしたが)

それほどの歴史を持つ街が、マスコットに熊を採用してる、
というのは、どうも違和感を感じるわけです。
まあ、何か深い理由があるのかも知れないので、ウカツなことは言えませんが…。

が、北海道は、都市とヒグマが身近に生活する珍しいエリアで、
その危険性を忘れては、絶対にいけないはずだと思うのですが。
本州あたりのノンキなツキノワグマとはモノが違いますから。

…えらく脱線しました。
話を香港の青果市場に戻します。



まあ、とりあえずどんどん奥に進みましょう。
大分店仕舞いが進んでますが、それでも結構賑やか。
でもって、ここで使われてる電灯も、例の生鮮市場と同じものだと気が付く。
単に昔はこれしかなかったのか、あるいは
やはり野菜類を美味そうに見せる効果でもあるのか。



建物内部はこんな感じ。
みなさん、極めてラフでワイルドでいらっしゃいますが、
こういう所に何の違和感もなく紛れ込めるのは、
私の数少ない特技のひとつだったりするのですよ、ええ。



そこで見かけた山積みのダンボールに注目したいと思います。
一番上の箱がわかりやすいですが、
箱の横には九州の文字に、鳥居と橋の絵が。日本の九州ですかね。

で、そこまではいいとして、その横にはなぜか
星条旗がアメリカンにはためいております。

…いや、なんで?



さらに九州の文字の横には、追い討ちをかけるがごとき
謎のマスコットがいらっしゃいます。
…フフフフフフ……なんじゃこりゃ(笑)。



その隣では、人類を嘲笑うかのごときセクスイポーズで
一匹の犬が毛づくろい中。

「ペロペロ、あのね、そこの顔が恵まれない人類の人、
ここは香港だからね、考えたら負けなの、ペロペロ」

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