■ミンスク、発進せず
その大砲の横についてたグラフ。
目標距離ごとの俯角(大砲の垂直方向角度)の指示かな、
と思ったんですが、どうも何かの装置の油圧レベル指示らしいです。
ヘリコプター。垂直離着陸可能。それ以外は詳細不明ってことでひとつ。
例の展示されてた対空ミサイル用と思われる誘導レーダーアンテナ。
水平方向だけに放物線を描いた反射板のパラボラアンテナなので、
(衛星放送用アンテナのような皿型、360度対応ではない)
対空レーダーのくせに目標の高度情報を拾いにくいような気がするんですが、
そこら辺はガッツでカバーなんですかね。
…3次元座標を絞り込む手段として、
ドイツが第二次大戦中期からすでに実用化してた
お椀型反射板によるコニカルスキャンを知らなかった、ってことはないよなあ…。
ただし、金網状の反射板の前に置かれた受信装置が、
縦方向に複数ならんでる、というあたりに何か秘密があるのかも。
まあ、旅行記ですから、ここら辺は詳細不明ってことで。
はい、でもってこの施設の目玉展示がこれ。
テーマパークの名前になってる旧ソ連の重巡洋艦空母、キエフ級の2番艦、ミンスクです。
最初に確認。
日本などではソ連の空母という扱いになってるのを見る事が多いですし、
この施設の名前にも航母、と中国語で空母とされてますが、絶対に違います(笑)。
ソ連閣下自らが“重巡洋艦”の空母(тяжёлы
авианесущий
крейсер)
と名づけてる理由は、実際に乗ってみると、30秒で理解できます。
ホンモノを見るチャンスがあるのなら、ちゃんと自分の目で見てから考えないとダメですね。
これは空母ではなく、間違いなく巡洋艦です。
当然、空母に期待される働きは全くできない船となってます。
例えば、1983年ごろ、現役バリバリ時代のこの艦が、
タイムスリップでミッドウェイ海戦の現場に出現した(笑)、としても
日米どちらが相手であれ、あの時代の機動部隊に
一方的にケチョンケチョンにされて終わることになると思います。
空母機動部隊には勝てませんよ、この船じゃ(笑)。
繰り返しますが、これは巡洋艦です。
航空機類はちょっと気の利いたオマケ、
程度にと考えておいて、まったく問題ありません。
対潜水艦空母、と見なすこともできますが、
そうすると巡洋艦部分の兵装があまりにヘビーです。
やはり、重巡洋艦空母、という特殊ジャンルの船でしょう。
基本的には、空母の無い海軍相手に、ワンマンフリートとして、
単艦で一定エリアの制海権を抑えてやれ、という戦略の船でしょう。
まあ無茶な話でして、正直、理解に苦しみます。
少なくとも当時のソ連の仮想敵国、
アメリカ海軍相手じゃ、絶望的なまでに使い道がありません。
…日本の海上自衛隊くらいなら、なんとかなったかもしれませんが、
当時の日ソが単独で交戦状態に入るというのは、ありえない前提でしょう。
とりあえず、海の戦いなんて日露戦争以来やったことのない海軍の船ですね。
そこら辺を実際に、見てゆきましょう、というのが次回からのお話。
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