■呪われしものの名は希望
持ち主を次々と不幸にする宝石、ホープダイヤモンド。
希望と言う名の呪いですね。
ただし、名前のHope
は元持ち主の名前であり、
希望のダイヤ、という特別な命名がなされたわけではなかったりします。
45.52カラットと、大きさ的にはスミソニアン巨大宝石祭りの中では地味ですが、
Fancy
Dark Grayish Blue
とエラク長い名前の珍しい色のダイヤで、
極めて貴重なものなんだとか。
あえて日本語にするならきらびやかな暗灰青色、というとこでしょうか。
ちなみに、Le
bleu de
France、フランスの青、という
呼び名もあるそうで、これがこの宝石の別名にもなってます。
その独特の色と、これまでの持ち主を次々と不幸にしてきたことで、
アメリカでは最も有名な宝石であり、
恐竜化石と並んで、この博物館の目玉展示の一つです。
正面から見ると、青と言うより黒なんですが、
こんな感じに見る角度を変えると確かに青い色となります。
このダイヤが記録に登場するのは1653年ごろからで、
それ以前はインドの王族が持っていたとされますが、詳細は不明だとか。
この段階でタベルニエ(Tavernier)という名の宝石商人が、
インドからフランスに持ち帰ったとされます。
この時、どういった方法で彼がこれを手に入れたのかは不明ですが、
とりあえず、その後、1673年ごろ、フランス国王ルイ14世が購入するのです。
ただし、当時はそれほど注目されていたわけでもなく、
他の多くのダイヤを含めたまとめ買いだったとされます。
ついでに持ちこまれたときには原石に近い、カットが施されてない状態で、
116カラット、現状の3倍近い大きさがあったとされます。
(112.5カラットと説明される事があるが、それは旧カラットでの数値。
現在の標準カラット数値に換算すると約116になるはず)
これをルイ14世が現在見れられる形にカットさせてしまったのだとか。
(後世にも少し削られたらしい)
えらく豪快なカットで、2/3近い残りがどうなったのか気になるところ(笑)。
まあ、ここまでは普通なんですが、
彼の孫に当たるルイ16世から不幸物語が始まります。
マリーの旦那さんで、フランス革命で首をはねられちゃう彼です。
で、マリーと彼が首をはねられちゃったのが、
最初のこのダイアの呪い、とされているものです。
その後、フランス革命のドタバタの中で盗難にあい、
20年近く行方不明になった後、
次は1830年ごろにイギリスで売りに出されます。
この間、一時的にジョージ4世が保有した、とも言われますが、
確かな証拠は無いそうな。
結局、イギリスの資産家、ヘンリー・フィリップ・ホープがこれを購入。
以後65年近くホープ一族が所有、ここからホープダイヤモンドの名が付きます。
特に彼の死後、相続した甥のヘンリー・トーマス・ホープが(両者ヘンリーなのに注意)
1851年のロンドン万博に出展、世界的に有名になったようです。
が、どういうわけかこのダイヤの所有者には遺産相続をする子供がない場合が多く、
ホープ一族は、この所有権を巡って一族内で何度も裁判を繰り返して行きます。
これが、悲劇その2。
結局、1896年ごろまではホープ一族の所有だったのですが、
最後のホープ家の相続人が破産してしまい、売りに出される事に。
この破産が悲劇その3。
以後は様々な人の手を転々とし、最終的に、1949年に
アメリカの宝石商、ウィストンがこれを購入、
1958年に、何を思ったかこれをスミソニアンに寄贈してしまったのでした。
(彼は1978年まで生きてるので、死後の遺贈ではない)
ちなみに、その間の所有者も何人かが破産したと言われており、
これが悲劇その4となるわけです。
が、世の中に出回ってるホープダイヤの悲劇はもっと数が多く(笑)、
さらに悲惨な話になっていたりしますが、
確実に確認できる悲劇は上のものに限られると見ていいようです。
ダイヤモンド付チェーンのあるネックレスにされてますが、
この形になったのは比較的最近らしいです。
まあとにかく豪華ではありますね。
ちなみに、スミソニアンは2010年から通販会社が、
そのコレクションのレプリカを模造宝石で作ることを認め、
そのライセンス料を資金源の一つにしてるそうで、
アメリカのTVショッピングでは、これの模造品とかも売られてるんでしょうか。
以前来たときは夏休みシーズンという事もあってか、
展示に近づくのも困難、という状況でしたが、今回は集団が移動してしまうと、
それなりに落ち着いて見学が可能でした。
ホープダイヤは回転台に乗っており、どの場所からも見れるようになってるのですが、
左のご夫婦はこれに気が付かず、展示が反対側になってるときに撮影してました。
帰宅後、奥様からどんな非難をこの旦那さんが受けたかと思うと、胸が痛みます…。
さすがにこの展示には警備員が付いてました。
どうもホンモノの警察官の人のようで、腰には拳銃装備済み。
その横の古紙のようなものはミシガン州の頁岩地帯から出てきた
ほぼ純粋な銅で、頁岩の間に挟まれて形成されたものだそうな。
はい、と言う感じで、2階の展示の目玉、鉱物に関する展示は見学終了。
今回の本編はここまでとしましょう。
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