■トリケラトプスの事情
こちらは前足の付け根の骨3種。左が右足の、真ん中が左足のオリジナルの化石で、
右端はそのデータを基に作ったコンピュータモデルからの複製(左足用)だとか。
これの説明がどうも妙な文章で、私の英語力ではよくわからない部分があるのですが、
化石になる過程で破損があったか、別の個体の骨が混ざってしまったかで、
例の全身骨格を復元してみたところ、サイズがあわなかったのだとか。
なでの、コンピュータを使って正しいと思われる大きさと形状を割り出し、
右端のような石膏による骨部品を製作して使用したようです。
この前脚部以外でも、肩、尾部、アゴなどの骨をこういった復元品で置き換えてるそうな。
3Dプリンターでの製造ですかね。
7000万年前とかの骨格が、無傷で完全な状態で残ってることは普通、無いでしょうから、
全身骨格を組み上げるにはこういった工夫がいるのでしょう。
こちらは自由に触ってね、というトリケラトプスの角。
当然、これは複製(Cast)です。
でもって、トリケラトプスのツノってのは骨がそのままツノなんだろう、
と思ってたんですが、さすがにそれだと骨折したらオシマイになってしまいます。
よって生きてる時には、この表面に馬のヒヅメのようにケラチンなどによる
強化カバーが付いていたと考えられてるんだとか。
(骨がアマダンチウムでカバーされたウルヴァリンのツメを思い出した人、居ます(笑)?)
下に書かれた赤い部分が化石にならなかった、
本来のツノの大きさの予想サイズで、
全体で骨より20%ほど大きかったのではないか、とのこと。
ついでに、骨の表面の溝も単なるひび割れではなく、一部は血管の跡だそうで、
これによってカバーとなるのケラチン部分に栄養を送っていたのだとか。
…いやはや、博物館と言うのはホントに勉強になりますね。
2年前のロンドン以来の、久しぶりに自分が賢くなってる実感がしますよ(笑)。
こちらは力が入ってる展示その2、ステゴサウルス。
これもギリシャ語で、屋根付きトカゲの意味だそうな。
どうもsaurus、日本語というかラテン語読みだとサウルス、
英語読みだとソーラスの部分がトカゲの意味らしいです。
これは1億4000〜5000万年前と、いくつ寝ても永遠にやってこないような
膨大な時間の過去に生きていた種です。
トリケラトプスやティラノサウルスと比べると圧倒的に古い種族となります。
でもって、こちらも北米を代表する種ですね。
この展示化石、周囲に発掘用の道具が展示されてたりするので、
てっきり複製品だろうと思ってたら、コロラド州で出土したホンモノでした。
ほぼ出土状態のようで、この解説板によると、
こんな感じでいくつかの部品が破損したり欠けたりした状態で、
しかも組み立て説明書なしに恐竜化石は出てくるんだよ、
と書かれておりました…。
この手の復元作業の人って、基本的にプラモデラーさんなんでしょうかね(笑)。
アメリカの博物館のこういった解説センスは結構好きです。
で、こちらは全身復元モデル。
解説板を撮影し忘れちゃったんですが、確かホンモノだったはず。
まあ、上のような状態の化石を組み立て説明書無しで(笑)
ここまで組んじゃうんだからたいしたものです。
私だったら、自分で食べたサンマの骨すら復元できる自信がありませぬ。
ちなみにステゴザウルス、首の骨の下に、カバーのような妙な骨があります。
これだとノドに噛み付かれても致命傷を避けれそうですが、
組み立て説明書無しの骨、ホントにここにあったのか、という気もしなくもなく(笑)…。
最後には復元模型まで。
さすがは恐竜、やっぱり大きいですが、
より新しい世代のトリケラトプスに比べると一回り小さく、
どうも恐竜も進化につれて大型化したんじゃないか、という気がします。
ここら辺りは、人類も新しい世代ほど大型ですから、
生物にはそういった傾向があるんでしょうかね。
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