■複葉の楽園



これもプッシャー配置、推進式プロペラのヴォイザン(Voisin) VIII(8)型。
フランス製の爆撃機で、これの姉妹機といえる、大砲積んだX(10)型の機首部だけが
フランスの航空宇宙博物館にありましたね。

この機体もオリジナルで、1919年に作られた夜戦型だとか。
かなり独特な形状で、他では見た事がない機体なので、
もう少し、見やすい展示になりませんかね、これ…。



こちらはドイツの超有名どころ、フォッカーのアルバトロスD V(5)a。
1916年に登場した傑作機、D III(3)の後継機として開発された機体で、
1917年の夏ごろから実戦投入されたとのこと。

ちなみに、航空機の進化の真っ只中で行なわれた第一次大戦だけあって、
D V(5)は登場時に既に時代遅れ、と見なされていたようです。
ドイツのエース、リヒトフォーヘンによる
“アルバトロス D V(5)はなんら設計に新しい冒険をしていない、完全に時代遅れの機体だ”
という証言が残ってますから、あまり優れた性能では無かったようですね。

ついでに、よく見ると機首部のエンジンから
スゴイ形で引き出された排気管が目につきます…。

この機体もオリジナルですが、詳しい来歴は不明だとか。
とりあえずフランスから贈られたものらしく、
サンフランシスコの博物館にあったものを
後にスミソニアンが引き取ったらしい、とのこと。



これもドイツの有名どころ、フォッカーのD.VII(7)。
完全に時代遅れになってしまったアルバトロスの後継機として登場、
1918年1月にに初飛行後、終戦まで主力機として戦ったようです。

さらにフォッカー社がオランダに移ってから、
戦後も生産が続けられた、という事ですから、優秀な機体だったのでしょうね。

展示の機体はオリジナルで、終戦直前、現地でアメリカ軍が鹵獲したものらしいです。
1961年に最初のレストアが行なわれ、1991年にこの展示が始まるにあたり、
再度大幅な改修が行なわれてるそうな。



機体展示の最後はイギリスの戦闘機、ソッピース スナイプ。
大戦前期のイギリスを代表する戦闘機、
ソッピース キャメルの後継機として造られたのが、
このスナイプで1917年10月に初飛行してます。
ただし、当時のパイロットの間では、キャメルほどの評価は得られなかったようです。

これもオリジナルですが、どうも個人が輸入した機体らしく、
やりたい放題の改造をされたものをスミソニアンが入手、
これをレストアして、ここに展示してるとのこと。



ドイツの巨人機、ツェッペリン シュターケン(Zeppelin staaken)R.IV(4)の模型。
ちなみにツェッペリン シュターケンはメーカー名で、Rが機体の名前、
IV(4)がサブタイプとなります。

第一次大戦でも、都市に対する戦略爆撃は行なわれていました。
1917年の夏から始まった、ドイツによる夜間爆撃がそれで、
この4発エンジンの機体が使われていたわけです。
ちなみにこれ、全幅で42.2m、全長で23.2mありますから、
幅だけなら767ジェット旅客機より少し小さいだけ、というサイズになってます。

そもそもは対ロシア戦線、東部戦線向けの爆撃機として開発されたらしいのですが、
後に夜間爆撃機としてイギリス上空に出現、
その存在を知らなかったイギリス空軍を驚かせたようです。
夜間爆撃に徹したのは、あまりに低速で、昼間に飛んでたら、
速攻で撃墜されてしまったからでしょう。

とはいっても、当時の爆撃機の爆弾搭載量では、
いやがらせレベルの戦略で終わってしまうわけですが。


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