■ゴダードさん登場
でもって、その横にはこれまた唐突に、
例のアメリカのロケット野郎、
ゴダードさん関係の展示が。
どうも航空の先駆者とならぶ、宇宙飛行の先駆者、
という位置づけらしいです。
でも、ゴダードの場合、自分が飛んだわけではないんですけども…。
展示の品は1928年12月に打ち上げたフープスカート ロケット。
Hoopskirt は中世から19世紀ぐらいまでの上流階級の女性の衣装で、
こういった骨組みをスカート下に入れて膨らませて歩く、というもの。
ビクトリア朝時代のイギリスでは、巨大な鳥かご状態の骨組みまで登場し、
風刺雑誌パンチでさんざんネタにされてますね。
その骨組みに似てる、という事からこの名がついたそうな。
先に見た1926年の液体ロケットの進化型のようですが、
ざっと62mの距離を3.2秒間だけ飛行したものだとか。
中央のロケットエンジンに目が行きがちですが、
よく見ると左右の下に、姿勢制御用と思われる2機のロケットが付いてます。
ここら辺りは、宇宙ロケットの元祖、というよりは、
ロケット推進装置の元祖、と考えるべきなんでしょう。
でもって、これはレプリカではなくホンモノで、
ゴダードの未亡人からスミソニアンに寄贈されたもの。
ただし、落下したのを回収しただけ、つまり破損していたので、
全面的に修復しての展示となってるようです。
で、ゴダードはもっとも早くから多段式ロケットを考案していた一人だそうで、
これは彼の1919年のスケッチを元に造られた模型。
現代の目から見るとちょっと無理がある気がしますが、
当時としては最新鋭だったのは間違いありません。
ソ連の数学者で初期のロケット理論の構築に活躍した
コンスタンチン・ツィオルコフスキー(Konstantin
Eduardovich
Tsiolkovsky)
が考案した初期のロケットデザインの模型。
ただし、ツィオルコフスキー自身は全く絵心が無かった人で(笑)、
彼の図を見るとベッドなんだかソファーなんだかよくわからないモノや、
どうみてもバスタブだよなあ、というものが船内にあったりします…
この模型はかなり良心的に彼の図を模型化してる、
と考えていいでしょう(笑)。
ただし、ツィオルコフスキーの宇宙ロケットに対する技術的貢献、
特に作用反作用の結果として推力を得れば、
宇宙空間だろうと飛行できる、というアイデアは重要で、
その点は評価されてしかるべきだと思います。
さて、最後に残ったのがこの部屋、第一次大戦の展示。
入り口のタイトルは、伝説、記憶、そして空の大戦となっております。
この部屋の展示は大衆文化としての理想化された戦争、
そして現実の戦争、という対比で構成されてましてた。
なので、まずは理想化された、大衆文化の戦争の展示として
第一次大戦関連のオモチャや子供向けの本など。
が、ご覧のように一番大きな展示が“くたばれ、レッドバロン!”と
小屋の上で叫んでるスヌーピーでして、NASAだけでなく、
スミソニアン関係者の間でも人気なんですかね、スヌーピー。
私の友人にいい年したオッちゃんながら、大ファンなのが一人居ますし、
私も好きですけどね。
ちなみに、彼が登場する原作漫画、ピーナッツは
不条理萌え漫画、とでも言うべき不思議な世界が展開されるのですが、
25年くらい前に、これの日本語訳がまとめて出版された事があります。
で、さる有名作家の方が翻訳者として名が出ていたのですが、
単なる不条理ギャグを無理やり妙に哲学的な日本語の流れに翻訳しており、
中途半端に頭がいいってのも考え物だなあ、と思ったことがありにけり。
NEXT