■ノゾキではない探査である



お次は地球を見つめてる、の部屋。
実は前回完全に見忘れた部屋だったりします。



ここは空から地上を観察する、という目的の飛行機やら衛星やらの部屋となってます。
入り口の横には右端の山の上(笑)から、気球、飛行機、低軌道の人工衛星、
さらには静止軌道の人工衛星まで、人類はイロイロがんばってきたのさ、という説明展示が。



で、ここにもぶら下げ展示の機体がありにけり。
アメリカ陸軍が写真偵察機として使ったイギリスのデ・ハビランドDH-4。

DH-4はアメリカのライト・タソーン基地、すなわちアメリカ空軍博物館の場所にあった
デイトン-ライト航空会社(Dayton-Wright Airplane Company)でライセンス生産され、
この機体はその先行試作として1917年に造られたものだとか。

1919年まで同工場でテストなどに使われていたようです。
ちなみにこの会社、ライトの名は兄弟の生き残り、
オーヴィル・ライトが顧問となっていたからです。
でもって、当時すでに時代から取り残されつつあった
(もっとも後にスプリット式フラップをヤコブスと共同で発明し航空業界を革命する)
オーヴィルが、生涯で最後に自分で飛ばした機体が
この展示のDH-4なんだそうな。

ちなみにこれも極めて見づらい展示でした。
よく見ると、後部座席から乗り出して写真を撮ってる
カメラマンのマネキンが乗ってるのですが、
そんなシンプルな写真偵察なら、2人乗りの機体は、
なんでも写真偵察機になっちゃうような…。



で、さらに数ある一人乗り軍用機の中でも、最も左右幅がある機体と思われる
U-2偵察機を強引に部屋の中に入れてしまっております。
ムチャクチャするなあ…。
あの天井に穴を開けてしまった尾翼の収納に力技ぶりが感じられます。
ちなみに写真だと緑色っぽく見えてしまってますが、実機は空軍式の青い迷彩です。

展示の機体はイギリスからの偵察飛行に使われていたもので、
1982年に空軍から寄贈されたのだそうな。

U-2は当ホームページをご覧の皆さんなら説明不要と思いますが、
1955年に初飛行したCIAが中止となって開発した高高度偵察機ですね。

高高度からの偵察なら領空侵犯しても安全だろうと思って開発されたんですが、
ロケット技術を転用して、ソ連が高高度対空ミサイル、
SA-2ガイドライン誘導ミサイルを造ってしまったため、速攻でお役ごめんに…
と思いきや、世界中でこの機体ほど高高度を飛べる存在が
他に無かったため、なんだかんだで2013年現在、
未だに現役の機体がある、という恐るべき機体となっています。

これも“ケリー”ジョンソン率いるスカンクワークスの設計ですが、
既に紹介したP-80、F-104、そしてウドヴァー・ハジー別館には
SR71に加えてP-38までありますから、ジョンソン設計機のほとんどが
スミソニアンに展示されてる事になりますね。

ついでにU-2は2012年の横田の航空際では、その静粛性を買われてか(笑)
韓国の基地から飛んできて、上空のフライパスを見せてくれ、
個人的にはちょっと驚いたのでした。


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