■ジェット始祖鳥



この部屋にも、第二次大戦の部屋のような壁画があります。
こちらは窓があるため、かなり退色してますが、なかなか美しいです。
まだF-15も16も入ってないのが1976年開館、という時代を感じさせます。
(F-16は既に採用は決定されていたしF-15は最初の部隊運用が始まった年だが)



ドイツのジェット戦闘機Me262。
当時は注目の的だった機体だけあって、戦後も各国が競って確保した結果、
少なくとも世界中に9機の現存機があります。
1400機前後しか造られず、実際に部隊で運用されたのは
その2割前後の300機前後と見られる戦闘機としては、恵まれているでしょう。
(戦後にチェコスロバキアが製造したMe262であるAviaの現存機は数えてない)

実用化された最初のジェット戦闘機&爆撃機と考えていいと思いますが、
部隊配備にまでエラク手こずった結果、実戦への参加は
後から開発がスタートしたイギリスのジェット戦闘機、グロスター社のミーティアと
ほとんど同時となってしまってます。
いろいろ微妙なところもあるのですが、当時としては最先端でしたし、
十分な戦闘能力も持っていた機体でしょう。

展示の機体はシリアルがW.Nr.500491、1944年にMe262のために設立された
第7戦闘航空団(Jagdgeschwader 7)に所属していた機体だとか。
ただし、くわしい来歴は不明です。
当然、これも1976年の第一レストア世代機。



それに並べて展示されてるのが、
アメリカで“初めて実戦配備された(the first operational)(笑)”
ジェット戦闘機であるP-80(空軍独立後はF-80)の先行試作機、
XP-80 ルル・ベル(Lulu Belle)です。

P-80の愛称はシューティングスター(流星)ですが、
最初に作られたこの試作機はルル・ベルという愛称で呼ばれていました。
当時人気だったカントリーミュージックの女性歌手の名前らしいですが、
日本だと小林幸子号みたいな感じでしょうか。

で、先にも述べたように、アメリカ最初のジェット機は例のベルXP-59なんですが、
どう見ても凡作、という結果に終わってしまったため、
アメリカ人の心中における最初のジェット戦闘機はこのP-80なようです(笑)。
かといって、最初のジェット戦闘機、と言ったらウソになりますから、
妙な肩書きが付いてまわる事になるのでした(笑)。

この機体の設計は後にU-2やSR-71、さらにはF-104を産みだす設計チーム、
“ケリー”ジョンソン率いるロッキードのスカンクワークスでした。
設計開始から初飛行まで、驚くべきスピードで仕上げた結果、
1944年1月に初飛行にこぎつけてます。

でもって1945年の3月ごろには、早くもアメリカ軍は
先行量産型のYP-80をイタリアに持ち込んでいます。
後にウドヴァー・ハジーセンターで登場するドイツの高速偵察&爆撃ジェット機、
Ar-234の迎撃に手を焼いた陸軍航空軍が、その対策として呼んだようですが、
目的の半分は、アメリカにもジェット機があるんだよ、
というデモンストレーションだったようで、大戦中は実戦参加せずに終わってます。



でもって前回見落としていて、今回、改めてビックリした展示、
ハインケルのHeS 3Bターボジェットエンジン。
前ページで紹介したHe178に積まれていた、
世界で初めて空を飛んだジェットエンジンです。

もちろん、ホンモノではなく、戦後に造られた複製品。
ただし、ドイツの博物館が展示用に当時の設計図を基に
作らせた中の1台だそうで、その再現度は極めて高そうです。

カットされた中に、風車、あるいは水車のようなものが見えてますが、
あれが空気を圧縮するインペラで、これが高速回転することで
羽根の間に入った空気を遠心力(空気から見た場合)で外壁に押し付け、
その圧縮を行い、そこに燃料を噴射、燃焼をさせて推力を得るわけです。
(ちなみに強烈に空気を吸い込むので、この構造は掃除機などでも使われています)

このため、現在のジェットエンジン、
あるいは同じドイツのMe262のユモ04エンジンのような多段式のファンがなく、
よって筒型というよりお饅頭のような形状になるわけです。

遠心式ジェットは圧縮率を強化するには
遠心力を上げる、つまり直径を太くするしかないため、
大出力エンジンを機体内に収めるのが徐々に困難となり、
戦後まもなく廃れて行く事になるのですが。



その先に展示されていたF/A-18のコクピット。
詳しい説明が無かったので詳細不明ですが、
少なくともスーパーホーネットのものではなさそうです。

となりにはA-10のコクピットもあったのですが、
窓からの太陽光の反射が惨くて撮影に失敗。

ちなみに全体の半分近くの写真が使い物にならなかた
前回の旅行からすると、今回は完全に失敗という例はほとんど無く、
私が成長したのか、LX-7というカメラがすごいのか。

…カメラだろうなあ…。


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