■黄金期のエンジン



でもってアメリカの1920年代の空といえばこれ、
という感じのリバティー(Liberty)L-12エンジン。
ロンドンの科学博物館にもありましたね。
実際は1917年から生産に入っておりました。

量産を考慮した設計だった事もあり、一気に大量生産されて、
さまざまな航空機はもちろん、ソ連のBT戦車、
さらにはイギリスのクルセイダー、クロムウェルといった戦車にまで搭載されます。

これの設計を行なったヴィンセント(Jesse Vincent)とホール(E.J. Hall)の二人は、
戦争省から突然ワシントンに呼び出され、行ってみたら突然、
ホテルに閉じ込めらて、新型エンジンの図面作成を命じられました。
なんだそりゃ、と驚いた二人は、1週間足らずで
図面を仕上げて帰ってしまったといわれています。

この後、大量生産マニアであるヘンリー・フォード率いるフォード社が
その生産に参戦、例によってあれよあれよと造りまくって、
世界中で航空機はもちろん、戦車にまで積まれるエンジンとなったのでした。



こちらも当時を代表するライトR-1820のE型空冷エンジン。

このエンジンも長寿でして、1931年から生産が開始され、
戦後の1950年ごろまで造られ続けておりました。
先に紹介したR-2800を超える生産期間ですが、ソ連やスペインでも
大量に造られた結果、総生産数がよくわからない、
というエンジンにもなってます。

とりあえず、例のダグラスDC-2&3、さらには
ボーイングのB-17爆撃機などのエンジンとして有名ですね。



でもって、当時から普及し始めた各種装備類。
どんどん飛行高度が上がっていったため、右の酸素マスクが登場します。
そして人間でだけでなく、エンジンも空気不足になりますから、
それを補うための過給器、左側のスーパーチャージャーも出てくるわけです。

このスーパーチャージャーは1927年にアリソン社が開発したもので、
海軍機につまれ、1929年に当時の最高高度記録を達成したものだとか。
ちなみに上側がおそらくエンジン取り付け部で、ボルト類が見えてますね。

といった感じで、黄金期の展示は見学終了。
とりあえず、今回の本編はここまでとします。


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