■黄金時代狂時代
室内の展示はこんな感じ。
やや手狭な部屋に4機もの(この上にも1機いる)機体を入れた上に、
変な演出の壁やら台やらをいろいろ置いてるため、非常に見づらいです。
こういった展示の部屋はいくつかあり、もうちょっと一工夫があればなあ、と思ったり。
1920〜30年代の航空機が大きく進化し、数多くの冒険飛行が行われた時代を
黄金時代と呼んで、その時代の収蔵物がいろいろ並んでます。
この時代は、トロフィー争奪戦、各種航空競技が盛んに行われた時代で、
この博物館にもそれらのトロフィーが相当数、展示されてました。
一通り撮影はして来たのですが、紹介するのも大変だし、
誰も読まないと思うので(笑)、ここではそんな展示もあったよ、という話だけにしておきます。
入ってすぐの場所にぶら下げ展示されてるChief
Oshkosh号。
発音はおらくチーフ オスコシュといった感じで、
日本語だとオスコシュ酋長号となります。
Oshkoshさんは実在した酋長らしいです。
この機体はアメリカでもっとも成功したレーサー機の一つとされてるそうで、
1931年にデビューしてから、戦後の1951年まで実に20年に渡り
アメリカ中のエアレースで活躍、何度も上位入賞してるとか。
レーサー機はさっぱりわからないので、
まあ、スゴイ機体なんだろう、という事で…。
とにかく、レーサー機らしい、左右幅の短い主翼が印象的。
これは横から見ると後ろ半分がF-4Uによく似てる、
なかなかカッコいい機体なのですが、
この展示だと、ほとんど下からしか見ることができず、
全体像がさっぱり把握できません。
同じような展示が他の部屋でも結構あるので、
こういった機体は思い切って広いウドヴァーハジー別館での
展示に切り替えてくれた方がいいような気がします。
F-22への道の連載を読んだ方はすでにおなじみ、
1920年代における陸軍航空部隊の理論的指導者、
“ビリー”ミッチェルさん(右側)。
空軍の発展を考える場合、欠かせない人、という事らしいです。
ちなみに左側の人はパトリック将軍で、
この人も空軍独立派だったようですが、私は詳しくは知りませぬ。
ミッチェルは空軍独立論者の最先端で、
空軍はその戦略爆撃だけで戦争を終わらせることができる、
という典型的な戦略爆撃万能論の持ち主でした。
その基本的な考え方は間違っておらず、
第二次大戦の戦略爆撃でドイツは壊滅に追い込まれ
日本はさらに原爆によって、無条件降伏にまで至るわけです。
とはいえ話はそう単純ではなく、戦闘機を含め世界の航空戦力は
以後、非常に複雑な発展を遂げる事になります。
さらに核戦力とミサイルが登場した後の迷走は、
F-22への道で説明した通りです。
そのミッチェルが行った、爆撃機による戦艦攻撃実験の成功を報じる漫画。
第一次大戦後、アメリカが受け取ったドイツの戦艦を相手に、
ミッチェル率いる陸軍の爆撃機部隊が爆撃試験を行い、
見事に沈めてしまった事件ですね。
これに対して上のコマでは海軍の士官らしき人物が、
「動かない、対空砲撃もしない戦艦相手じゃないか。
それを沈めるだけで、どれだけ時間がかかったと思う?」
と疑問を投げかけ、下のコマでは爆撃機のパイロットが
「かもね。でもオレたちは確かに沈めたぜ。違うかい?」
と反論している、という内容。
これは両者とも正しく、おそらくこの時代の大型爆撃機では、
航行中の敵艦隊が本気で対空防御を講じてきたら、
おそらく近づくのさえ困難でしょう。
ただし、戦艦が空からの攻撃に弱いのもまた事実で、
結局、その後の進化の度合いがはるかに大きかった
航空機がどんどん有利になって行き、第二次大戦に至るのです。
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