■次は民間だ



さて、では最後の吹き抜けホールの床上展示と行きましょう。
例の「旅客機の間」であり、正面の看板によれば、空路によるアメリカのコーナーです。

ただしここ、先に見た天井のぶら下げ展示の豪華さに比べると、下はやや寂しめ(笑)。



ここは首だけ展示が多く(笑)、先にみた左のジャンボジェットの首に加えて、
床上にはダグラスDC-7の機体前半部が展示されています。

DC-7はR-3350エンジン×4発のレシプロエンジン旅客機で、
展示の機体は1953年に初めてDC-7による
無着陸ニューヨーク〜ロサンゼルス路線を開通させた
アメリカン航空のものだそうな。
(ただし展示機は1956年製のもの)
ちなみに両都市間は約4000kmありますから、時速580kmが最大の
DC-7では7時間近くかかったはず。
ちなみに東京から4000km飛ぶと、香港、マニラを越えて、
ほぼタイのバンコク手前まで行ってしまいますから、
アメリカがいかに広いか、という感じです…。

余談ながら、旅客機の機体でトイレのタンクの容量を超えると
殺菌剤をまぜた上でバルブを開いて空中で投棄してしまいます。
この殺菌剤のおかげで青く着色されるのですが、
高高度を飛行中だと、拡散せずに氷になり、
さらに冬場などには解けずに地上まで落下する事があるわけです。

これがいわゆる“青い氷(Blue ice)”で、アメリカで、
航空機の着陸ルートの下にある家が、これの直撃を食らう、
という事故がこのDC-7あたりの時代から発生し始めたのだとか。

さらに余談ですが(笑)、青い氷は機体にとって笑いごとではない部分があり、
リアエンジン、尾部にエンジンをつけている727のような機体だと、
この機体の途中にある汚水タンクから放出された“青い氷”の直撃を
後部エンジンが受けた、という事故が何度か発生してるそうな。



そのコックピット。
上見ても下見ても計器だらけです…。
ちなみに操縦桿の横に円形ブラウン管のレーダースコープらしきものがあり、
この時代からすでに民間航空機にもレーダーあったんだ、とちょっと驚く。



そのDC-7の客席部。
ラウンジ、と書いてありましたが、ファーストクラスでしょうか。
けっこう豪華ですが、窓にカーテンというのが列車式な感じ。



その向こうには747のエンジンだけがありにけり。
なんだか一部骨格だけが発見された
恐竜の化石のような展示になってますね、747。


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