■どんどん宇宙だ



お次はアメリカの歴史的なミサイル&ロケット軍団。
やや小型のものばかりですが、
それでも天井の高さが足りなかったようで、
床に穴を掘って収容してるのに注意してください。



まず、左端のがNASAのスカウトDロケット。
1972年に導入された、やや小型の人工衛星打ち上げ用のものだとか。

その右、画面中央の緑色っぽいのが、大陸間弾道ミサイル、
いわゆるICBMのミニットマンIII。
1970年から配備された3段固定燃料式のICBMです。
当然、それ以前にはI と II が運用されていました。
こうして見ると、ロケットも大陸弾道ミサイルも同じようなもので、
実際、両者の技術は密接に関係しています。
宇宙ロケットを開発しながら、弾道ミサイルに全く手をつけてない
清く正しい宇宙国家は、世界中で日本ぐらいでしょう。

で、右端がジュピターC型ロケット。
1958年1月、アメリカ最初の人工衛星、
エクスプロラー1を打ち上げたロケットです。
この人工衛星も、後ほど登場します。
ちなみに展示のロケットは原寸大のレプリカ。

このジュピターC型はV-2ミサイルのフォン・ブラウンチームが
陸軍で開発していたもので、本来はこれも弾道ミサイルでした。
(レッドストーンミサイルからの改造。ただし飛距離は短くICBMではない)
なので、弾頭部の上に乗っけるような変な形で
人工衛星のエクスプロラーを乗せてます。

ついでに、世界初の人工衛星スプートニクを打ち上げた
ソ連のR-7型ロケットも本来は弾道ミサイルですから、
この時代の宇宙開発はミサイルの技術開発競争そのものなのです。

このジュピターCの成功によって
ソ連に先を越された上に失敗続きだったアメリカの宇宙開発が、
ようやく軌道に乗り、そして以後はブラウンのチームが
アメリカの宇宙開発の本流となって行くことになります。



お次は写真左端、アメリカの残念賞、ヴァンガードロケット。
これはホンモノです。
こちらは海軍の弾道ミサイルからの開発。
1950年代は海軍も、どっから打ち上げるんだ(空母の甲板だと思うが)
というような巨大弾道ミサイルの開発をやっていたのでした。

これもスプートニク対策としてアメリカの威信をかけて開発された
ロケットでしたが、1957年12月、アメリカ中が注目するなか、
発射直後に大爆発して、あっさり打ち上げに失敗します(涙)。

その1月後に右横のジュピターCが打ち上げに成功、
アメリカ最初の宇宙ロケットの座を逃す事になりました。
もしこちらが成功していたら、ブラウンたちがアメリカの
宇宙開発の中心になることはなかったかもしれません。

ただし、失敗の3ヶ月後には打ち上げに成功しており、
完全な失敗作、というものでもないようです。

最後は画面中央、黒い小型ロケットで、
アエロ ビー(Aerobee)の150型。
1950年代にアメリカで使われていた高高度観測用ロケットだとの事。



その横にあった、ソ連のソユーズ宇宙船で
使われていたという宇宙トイレ。
よく見ると解説板に男性トイレマークが入ってますが(笑)、
これは男性専用なのだとか。
なぜ、とか、どうやって使うの、とかまで踏み込んだ説明を行なうと、
当ホームページの品位に関わりそうなので、この説明はここまで。



アメリカ初の偵察人工衛星、コロナに積まれていた偵察用カメラ装置。
ただしコロナの名前がついてる偵察衛星は全部で8機あり、
1959年から72年まで、13年間に渡り次々と活動していたようです。
ちなみにこれ、1995年まで機密指定が解除されてなかった装置だそうな。

展示のものは、コロナ最終型KH-4Bに積まれていたのと
同じカメラ装置とのこと。
ただし、出所は不明で(笑)、試作機なのか、予備機なのかよくわらかず。

えらく巨大ですが、カメラ本体は左側の部分だけです。
ここに2台セットで設置されており、
立体写真が取れるようになってたようです。

で、右端の金色のパーツは
その撮影したフィルムを巻き取るカプセルで、
よく見ると、上にカメラからのフィルムが見えてます。
すべてのフィルムを使い切ると、これが切り離されて大気圏に突入、
空中で飛行機によって回収される、という豪快な運用でした。

ちなみに、カプセルと本体の間にリールが見えますが、
本来はここにもう一つ、回収用カプセルがありました。
これは、その内部のフィルム巻取り装置を見せてくれてる状態です。

という事は、搭載したフィルムが終わって、二つのカプセルを打ち出したら、
この衛星も使い捨て、というわけでエライ豪勢なシステムとなってます。
実際、初期のものは1年前後で運用を終えてるのですが、
展示のKH-4Bとかになると5年近く使われてました。
よほど大量のフィルムを積んでたのか、
あるいは何らかの補給システムが開発されたのか…。



でもって、アメリカがやってるならソ連もやってるわけで(笑)、
こちらはソ連の偵察人工衛星、1970年代に運用されていた
サリュート5から落とされた回収カプセル。
上の落下傘部も、本来ならこのカプセルの中に収められてるようです。

ついでに良く見ると、左下の底部が割れてます。
地上に激突したのか、熱で割れたのか不明ですが、
これで大丈夫だったんでしょうかね。

さらにこの展示、よく見ると解説の隅っこの方に小さく、
ペロー財団からの貸し出し、と書かれてました。
ペロー財団て、1992年と96年の選挙に無所属で大統領に立候補した、
あのちょっと変な右翼政治家、ペローが設立した財団では?
なんでこんなの持ってるんだ、あの財団?
うーん、謎ですねえ…。

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