■アポロと愉快な仲間たち
せっかくなので1階に下りて撮影。
こちらが着陸船正面玄関ですね。
こうして見るとわかるように意外に大きく、
高さで7m、左右幅で最大9.4mあります。
下部のキンキラキンなシートは耐熱用の包装で、
真空中で熱を持たないように、
太陽光を反射してしまうものらしいです。
逆に黒い部分は太陽光の電磁波を
片っ端から吸収しちゃうはずですが、
どういった目的でこれがあるのか、よくわかりませぬ。
運動会の本部テントのようなもので、
ここで日光の熱を全て吸収して、本体を日陰にするんでしょうかね。
あんまり見る事がないと思われる裏側から。
地球の重力の中で自立できるほど頑丈な構造は、ムダなんじゃないか、
と思ってしまうんですが、月の重力に合わせて造ってしまうと、
地球での準備中に壊れちゃうんでしょうか。
地球に帰るときは、脚が付いてる下部を月に残して上半分だけが月を離脱、
軌道上で待つ指令船に戻ります。
15号以降、映像記録が残ってるこの月離脱を見ると、
冗談みたいなショボイ打ち上げで(笑)、
地球脱出のあの苦労はなんなんだという感じです。
なので、下半分は今でも月に残ったままになっており、
このまま人類が滅んでも、月が無くなるまでそこにあるはず。
あるいは200年後には月の観光名所になってるかもしれません。
さて、ここには他にもいくつかの宇宙船が展示されてます。
ざっと紹介してしまいましょう。
まずはアポロに先駆けて、1966年から行なわれた無人月着陸機計画、
サーベイヤー計画の着陸船。
Surveyor は調査官の事だと思ってたんですが、測量士の意味があるそうな。
展示の機体は試験機として作られたもので、
これまた実際の着陸機と同じものです。
これでアポロ計画に必要な事前情報を集めたのですが、
実は7機打ち上げた着陸船の内、2機までが着陸に失敗してます…。
こちらはアポロの着陸地点選考のため、
月の上空から月面写真を撮影したルナー オービター(Lunar
orbiter)。
直訳するなら月の周回機、意訳するなら月人工衛星ですね。
最終的に月面の95%以上を撮影したそうな。
よく見ると、衛星の中央部辺りに下向きのカメラがあるの、わかるでしょうか。
こちらも1966年から1967年まで5機が打ち上げられ、
途中で地球軌道の外から、初めて地球全体を撮影することにも成功してます。
こちらはさらにそれ以前、1965年から
月面探査に打ち上げられたレンジャー(Ranger).。
この場合はレンジャー部隊のレンジャーかなあ。
ちなみにこの展示の機体は後から造られたレプリカ。
でもってこの計画、全部で9機打ち上げられた内、
最初の6機が全て失敗に終わってます…。
こういった失敗から学んだ結果がアポロ計画の成功に繋がってるんですかね。
しかし、こうして見ると、この時代のNASA、どんだけ予算を持ってたんでしょう。
1960〜70年代のアメリカは、ベトナム戦争だけではなく、
宇宙開発にも金を取られまくったわけですから、そりゃ、国も傾くなあ…。
最後はアポロ計画以後、アメリカが打ち上げた月探査機、
1994年に打ち上げられたクレメンタイン(Clementine)。
この名前、人名だと思うんですが、誰なのかよくわかりません(笑)。
これも実機で、地上用の試験機です。
71日間、月軌道を周回して各種データを収集し、
その後、小惑星調査に向う予定だったのですが、そちらは失敗したそうな。
ちなみにこの計画、NASA単独ではなく、なぜか国防省が絡んでます。
冷戦終了後に、月に何の用があったのやら。
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