■月着陸船
お次はDC-3やらボーイング247やらがあった民間航空の間に、
暖炉の上の鹿の首のごとく置かれているボーイング747の機首部。
さすがに機体を丸ごと保管するのは無理だったようで、首だけ展示となってます。
巨大すぎる、というのも問題なんでしょうね。
実際、世界中の航空博物館で747を丸ごと保存してるのを見かけたのは
フランスの航空宇宙博物館くらいです。
コクピット内が見学可能なのですが、これも2階から入る必要があります。
内部はこんな感じ。
旅客機はさっぱりわかりませんが、計器類が全てアナログ式、
手前に機関士の席もあるので、かなり旧式なものじゃないでしょうか。
キチンと全部の計器が点灯してるのに驚きました。
よく手入れしてますね。
ついでに操縦桿に何か貼ってあったんですが、フライトプランかなんかでしょうか。
その後ろにあったやや投げやりな展示(笑)。
どっかの航空会社の塗装見本と、
搭乗員のスーツだったと思いましたが、既に思い出せず…
さて、これで2階バルコニー部分から見学するものは全て見ました。
ここで一気に東の端、例の無人機の園とは反対側に行ってしまいます。
そこには…
はい、アポロ計画の月着陸船(LUNAR
MODULE)が。
なんだか安いオモチャっぽい造形ですが、ホンモノです。
月着陸船は全部で12機が完成しており、
内、2機が初期の各種実験目的で造られたものでした。
(後で述べるように、さらに未完成で中断が3機ある)
ここに展示されてるのは初期の試験用に造られた2機のうち、
2号機となるLM-2で、1号機のLM-1で全ての実験が成功したため、
最終的には打ち上げられず、地上に残されたものとなります。
(1号機LM-1はアポロ5号で打ち上げられ、
地球軌道上で各種試験を行なった後、大気圏に突入、燃え尽きた)
本来、月着陸船には、それぞれ名前があるのですが、
最初の試験機2機と、後で見るLM-9はLMナンバーが
付いてるだけとなってます。
ただし、名前があった中でも3号機のLM-3スパイダー、
4号機のLM-4スヌーピーまでは着陸前の実験に使われた後、
全て放棄されてますから、今から見ると、
この時代のNASA、予算使い放題、やりたい放題ですね…。
しかし、どういう組みあわせだ、この名前(笑)。
3号機スパイダーは地球軌道上の実験で使われ、そのまま大気圏に突入、
4号機スヌーピーはアポロ10号によって月軌道まで運ばれたものの、
11号の着陸前の予備試験を行なった後、太陽を巡る周回軌道に破棄されています。
(月軌道周回中は飛行士が乗って各種テストを行なった)
ちなみに月軌道まで行ったアポロの着陸船で、
現在生き残ってる(はず…)のは、このスヌーピーのみで、
あと200年位したら、これを歴史遺産として回収しようという
連中が出てくるかもしれません(笑)。
ついでに、地球に帰って来た10号の指令船カプセルは
ロンドンの科学博物館で見ましたね。
で、最終的に宇宙に行かなかった着陸船は2機あり、
1機がこの展示のもので、残りのもう1機は
NASAのケネディー宇宙センターに展示されています。
ケネディー宇宙センターの機体は本番用のLM-9で、
本来は15号で打ち上げ予定だったのが、急遽新型のLM-10と
入れ替えられ、名前も付けられないまま引退となってます。
どうも15号で急遽、月面自動車を持ち込む事になり、
従来型のLM-9ではダメだったみたいです。
ちなみに、先に書いたように18〜20号はキャンセルになったものの、
18、19号用のLM-13、LM-14は、ほぼ完成していました。
この内、LM-13は製造会社であるグラマンが後にレストアし、
ほぼ完成状態としてニューヨークのグラマン工場跡にある
航空宇宙博物館で展示しています。
LM-14の方はほぼ未完成状態のまま、フィラデルフィアにある
フランクリン インスティチュート(Franklin
Institute)
博物館で展示されているようです。
実はこの後でフィラデルフィアに行くのですが、
うまく行けばここも見れるかなと思ってたものの、
とても訪問してる時間はありませんでした…。
ついでに最後に作られていた20号のLM-15は
どこまで完成してたのか不明ながら、スクラップにされたとの事。
今なら、引き取り手、いらくでもいたでしょうに…。
ここで再び、スカイラブ。
写真の上部の右側、太陽電池の間にあるスカイラブの不思議な物体、
太陽観測システムは、当初、アポロ20号の着陸船に積んで
月まで持って行き、そこで観測を行なう予定だったとされます。
そういった意味でも、スカイラブはアポロ計画の直系の子孫なのでした。
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