■本屋と特殊な本屋



このキング ストリート、
周辺では、もっとも大きな商店街なんですが、意外に人は少ないですね。
まだ朝早い、というのもあるのでしょうが。

よく見るとクラシックな感じの自動車が道端に停まってますが、
これ、同じようなのを何台か見たので、
もしかすると、観光用の演出かもしれません。

1950年代の古きよきアメリカってのは、21世紀の日本に置き換えると、
高度成長期の昭和の香りのする街、みたいな印象を受けます。



こちらはコミック屋さん。
今では珍しい商売の一つになりつつあるようで、
実はアメリカでこの手のお店を見たのは初渡米以来の15年ぶり。
ちょっと感激したのですが、これも開店前で中は見れず。

しかも、硬派のコミックブック ストアのようで、
日本のマンガもアニメも知らぬ、通じぬ、という商品展開が
外から見て取れ、貴重なお店だと思います。

何度か書いてますが、日本だと雑誌もマンガも文庫も通常書籍も
全て本屋さんの範疇ですが、アメリカやイギリスの場合、
マンガは本屋の範疇に入りません。
場合によっては雑誌も別なんですが、近年は雑誌と書籍は
同じ店で扱うことが多いみたいです。
で、その本屋から締め出されたマンガを扱うのがComic book storeです。
この点は基本的にイギリスも同じ。

以前はマーベルなどの定期刊行コミックは
先に見たファーマシー系のお店でも売っていたのですが、
10年くらい前からほとんど見かけなくなってます。
今、アメリカでコミックブックを買おうと思ったら、一苦労なのです。



ちょっといい感じだった、そのお店の営業中&閉店の看板。

ちなみに日本では全てマンガですが、アメリカの場合、
リアルな絵柄で長いストーリーが展開するのがコミック(Comic)で、
デフォルメされた絵柄で4コママンガのように短い話で終わるのが
カートゥン(Cartoon)と呼ばれ、明確に区別されます。
(1コマ風刺漫画などもカートゥンに分類される。イギリスではこっちの意味が強い)

ちなみにアメリカでアニメはディズニーなどの子供向け短編で始まったため、
アニメの事もカートゥンと呼ぶケースが多いです。
日本の場合、手塚治虫閣下が、ディズニーのカートゥンの絵柄を
そのまんまパクリながら、内容はストーリー重視のコミック、
という妙な展開をやって大人気となってしまったため、
両者が融合したような、不思議な形になってしまってます。

で、Comicと呼ばれるアメリカのマンガには、
第二次大戦前から、マーベルとDCの二大出版社がありました。
分かりやすく分類すると、スーパーマンとバットマンの漫画がDC、
スパイダーマンとXメン シリーズがマーベルです。
ちなみに、読者のアンケート結果次第で内容をどんどん変えて、
作品の人気を高めるというのはおそらくマーベルが最初にやったもので、
後に日本の少年ジャンプがこの方式をまんま採用してますが、
これがマーベルの模倣なのか、独自の結論だったのかは知りません。

で、1970年ごろまでは、両社の作品ともそれなりに人気だったのですが、
1980年代辺りから、人気に陰りが出てきます。
どちらもスーパーヒーローが主人公なため、話の展開は限られており、
話のマンネリ化と、逆にマンネリを打破しようとして刺激的な展開をやったら
内容に収集がつかなくってしまうメチャクチャな状況になってしまったのです。
この結果、人気キャラが死んではアッサリ復活と言うしょうもない展開の話が続出し、
その人気は急落、1990年代になると、
事実上、コミック ブックの時代は終焉を迎えます。

その後、ドラゴンボールを始めとする日本のマンガの大ブームが来るのですが、
ここ数年、海外に出てる感じからすると、
日本のマンガもかなりの勢いで人気が無くなってる感じがしますね。
4〜5年前ならどこもで見かけたのに、今回の旅行中は
ほとんど日本のマンガを見かけずに終わってます。

以前、日本のゲームが世界中で大流行しながら、
21世紀に入って急速に失速したときもこんな感じでしたから、
そろそろブームも終わりなのかもしれません。



その先にあったこれは古本屋さん。
実は航空祭の出店などを除き、アメリカで古本屋さんを見かけたのは初めて。
これもちょっと中を見たかったのですが、例によって開店前でございました…。


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