■それ以外



アメリカ陸軍のリトル ジョン ミサイル。
こんな小さいミサイルを単発で飛ばしても意味ないじゃん、
というところから判断できますが、これも小型の戦術核ミサイルを
撃つためのもので1958年に試作型が完成してます。

1950年代のアメリカ軍は完全に狂ってまして(笑)、
明らかに核兵器をちょっと便利な破壊兵器感覚で運用してます。
朝鮮戦争でマッカーサーの核兵器使用ににブレーキをかけたトルーマンが、
むしろ異常だったのだ、という気がするほどです。
そんな中で、こういった前線の大隊、下手をすると中隊レベルで
運用できる核兵器が開発されていたわけです。

ただし、このミサイルは最終的に配備されずに終わってます。
ここら辺り、完全に推測ですが、この弾頭部、さすがに1958年の段階の
核弾頭を搭載するには小さすぎたんじゃじゃないでしょうか。
プルトニウムによる分裂型核爆弾の場合、1950年代中盤ごろから
急速に小型化が進むのですが、それでも一瞬で臨界量にするための
爆縮レンズ構造は必須でしたから、さすがにこの大きさは無理じゃないかと。
ただし、1970年代には、ほぼこの程度のサイズになってしまうので、
もしかしたら、別の理由かもしれませんが。

さて、アメリカ軍という組織を理解する良い例だと思うので、ここで脱線(笑)。
ただし、ここからは夕撃旅団の品位維持の戦いになります。

この小さなジョン、という名前は、先に配備されていた同じような戦術核ミサイル、
オネスト ジョンより小型化されたよ、という意味です。
これは問題なし。
が、先代のオネスト ジョンは問題だらけであり、
私が知る限り、これは世界最悪の兵器名となってます(笑)。

Honest John、直訳すると正直者のジョン、ですが、
Jon(Jounson)は英語で男性の一般名、日本語だと太郎といった意味です。
でもって、Honestには正直な、というのと同時に、
ありのままの、という意味があり、ここから、ありのままのジョン、
ありのままの男性、という意味が出てきます。

えー、この先は以下の例文で察してください(笑)。
以前、ラスベガスの安宿で見た注意書き。

「小便する時は一歩前へ。君のオネト ジョンは本人が思ってるほど
大きくもなければ、威力も無いと知れ」

わかりましたね(笑)。
オネスト・ジョンにはそういった隠された意味があります。
すなわちオネスト・ジョンミサイルは、ミサイルの形状の連想そのまんまの命名で、
隠語として世界最悪の下品な意味を持つ、とんでもない名前となっています。

ちなみに、正直に書くと、さらに下品な意味があり、
通常は水平に置かれてるこの手のミサイルは、
発射時にゆっくりと上向きに持ち上がります。
これを見て、おそらくオネスト ジョンの名前が与えられてます。
意味がわからない、という女性読者のみなさんは、
そのままのあなたで居てくれることを筆者は祈ってます。

この名称、日本語だと新兵のジョンとか、正直な少年の意味と
書かれてるのを時々見ますが、
それはあまりに上品過ぎるし、世間知らずな翻訳と言わざるをえません。
その感覚でアメリカ軍相手の考察を行なうのは無理でしょう(笑)。
連中は死んでもそんな名前は付けませぬ。

ちなみに、小便を目標にあてる、という意味もあるそうで、
ここから狙い撃ち、の意味が出てきて、
ゴルフには自分のスコアを事前に予想してそれに近づけてゆく、
オネスト ジョンというルールがあるそうな。
…女性ゴルファーはなんて呼んでるんでしょう、これ…。

とりあえず、紳士のスポーツにあるまじき命名ですが、
そもそもアメリカでゴルフがあれだけ普及したのは
賭けゴルフのおかげと言われてますから、まあそんなもんです。
真顔でゴルフは紳士のスポーツとか言われても対応に困るわけで(笑)。

いぜれにせよ、よくまあこんな名前を正式に採用したなあ、
という感じでしょうか。
一説には黒人のスラングだったので、1950年代のお偉いさんは
全く意味がわからず、あっさり採用されてしまった、
とも言われてるようですが…。

とりあえず、日本の自衛隊では採用されなくてホントによかったと思います。
(ただし、いわゆる“東宝自衛隊”には採用されており(笑)、
どうも初代ラドンを攻撃したのが、オネストジョンらしい)



お次は空軍初の機上発射式巡航ミサイル(ALCM)AGM-86A。
当然これも核弾頭搭載型で、B-52爆撃機からの運用が前提となっていました。

1976年に試作型が開発され慣性誘導とレーダーの組み合わせで、
自律的に飛行でき、さらにレーダーに見つかりにくい低空飛行が可能となってました。
ただし、あくまで実験機だったのか、最終的には量産されずに終わってるようです。



こちらはちょっと変り種、ペガサスXL 発射装置。

私は全く知らなかったのですが、商業的に実用化されていた民間運営の宇宙ロケットで
航空機に積まれて高度12000mまで上昇し、
そこから発射されることで軽量化、抵コスト化を狙ったものだとか。
3段ロケットになっており、最大450kg前後までの重量を衛星軌道に乗せれるとのこと。

でもって、実験機だろうと思ってたら、1990年に初飛行後、衛星打ち上げの受注に成功、
2013年までに42回も打ち上げが行なわれ、9割近い成功率を誇るそうな。

ただし、思ったほど低コストではなく、受注が伸び悩んで、
2013年の夏以降、運用が中止されてるとの事。


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