■それもエンジン
お次はコンパクトなヘリコプター用ガスタービン、
いわゆるターボシャフトエンジンである、ライカミングT-53Lの1型。
ライカミング社によるターボシャフトエンジンの、最初の量産型らしいです。
これはベトナム世代の長寿ヘリ、ベルUH-1に搭載され、
その発展型であるAH-1コブラ攻撃ヘリにも使われたため、
世界的なベストセラーとなっています。
当然、日本の自衛隊でも使用していますね。
全長約1.48m、直径58cmの小型のエンジンですが、
350kg前後の重量で1400馬力(HP)が出たそうで、
改めてガスタービンの出力の大きさに驚きました。
例の1kgあたりの数字だと4という驚異的なものになってます。
この小型エンジンがあったから、あのUH-1の広い室内が実現されたんでしょうね。
お次は世界中の博物館でおなじみ、ドイツのジェットエンジン、
ユンカース ユモJu004のB4型。
世界初の量産化されたジェットエンジンです。
本館で見てきたドイツのジェット戦闘機Me262、
そしてここで見たジェット偵察&爆撃機Ar234に搭載されていたエンジンがこれです。
ちなみに、同じ第二次大戦機のジェットエンジンなのに、
先に見たアメリカ&イギリス初のジェットエンジン、J31とまるで形状が異なるのは、
こちらは現在のジェットエンジンの主流となってるのと同じ、
軸流圧縮式と言う、全く別の構造だからです。
先に見たJ31は、インペラ1枚を回し、その羽根に生じる遠心力で
空気を外側に押し込めて圧縮する遠心圧縮だったのですが、
こちらは複数のファンを多段式に並べて各段で少しずつ空気を詰め込み、
最終段に至る行程までで空気を圧縮してゆく軸流圧縮型なのです。
これならエンジンの高出力化の時、ファンの数を増やすだけで対応できるため、
以後、戦後のジェットエンジンはこちらが主流となります。
ちなみに、遠心圧縮式だと、インペラを巨大にするしかなく
(多段化は2段程度が限界)、
どんどん正面面積が増大するため、
実用的なサイズに収められなくなってしまうのです。
こちらは貴重なジェットエンジン、日本が終戦間際に完成させたネ-20。
先に見た、レストアハンガーにあった橘花(きっか)で使用されていたエンジンです。
上でみたドイツのユモ004によく似ていますが、こちらは同じドイツのエンジンでも、
He162に搭載されたBMW003ジェットエンジンを参考に作られています。
ただしドイツから提供された設計図を運ぶ潜水艦が途中で沈められたため、
簡単な基本図面だけが手に入っただけで、後は国内の技術で製作されました。
となると当然のごとく(涙)、しょうもないエンジンとなってしまい、
正直、コメントするべき事が見当たりませぬ…。
とりあえず、実用性はほとんど無かったと見ていいでしょう。
ちなみに、このエンジンは状態がいいものが
某社所有で日本にも1基あり、機会があると一般に公開されています。
二つのエンジンは並べて展示されており、後ろから見るとこんな感じです。
ちなみに手前がネ-20なんですが、
排気ノズルの中にあるコーン部分の先端が欠けて、
なにか棒のようなものが飛び出してますね。
元ネタとなったBMW003の場合、この先に排気管のような筒が付くんですが、
それが失われてるのか、何かオリジナルの工夫なのかよくわかりません。
日本で現存してるエンジンでも同じような状態なので、
元からこの状態の可能性が高いようですが。
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