■迷走だってするさ
RIM-8J タロスミサイル。
これも海軍さんのもので、こちらは艦対空の誘導ミサイルです。
ただし、本来はニ段になっており、この後に第一弾ブースターが付きます。
展示ではその部分が失われてますね。
そのブースターは他の対空ミサイルのように高高度までミサイルを打ち上げる、
というだけでなく、ミサイルを音速まで加速する、という目的がありました。
夕撃旅団読者の皆さんなら、見て気がつかれると思いますが、
このミサイル、超音速飛行時の衝撃波背後にできる高圧、高温の空気を取り込み、
そこに燃料を噴射して爆発させ、それを推進力とするラムジェット駆動なのです。
なので、先端の丸い穴は空気取り入れ口、その中から出てるコーン(円錐)は
あの先端で衝撃波を発生させるためのものです。
だったら、あのコーンの中に誘導アンテナ入れちゃえばいいじゃん、
と思うところですが、アンテナ類は空気取り入れ口周囲に取り付けられた
4つの棒になってます。
終戦後から始まった海軍のミサイル開発計画から生まれたものの一つで、
1957年に配備が始まり、79年まで現役だったとの事。
これも海軍のミサイルですが、2014年現在も最先端兵器といえる、
対弾道ミサイル撃墜用のRIM-161 スタンダード ミサイル-3。
ただし、展示のものは原寸大の模型です。
2005年から配備が始まったようですが、その最新型、
ブロックIIからは日本も開発に参加しており、
当然、日本のイージス護衛艦にも、対弾道ミサイル用に積まれています。
イージス艦のミサイル発射セルから打ち出されるのですが、
先に説明した、対人工衛星攻撃能力も持つようで、
2008年に実際に撃墜試験に成功してるとのこと。
これまた宇宙空間まで飛んでゆくわけですから、三段式のロケットになっており、
羽根のないやや太い部分が第一段ブースター、その上の長細い羽根部分までが
第二段ブースターで、その上がミサイル本体となります。
ただし、大陸間弾道弾(ICBM)クラスになると撃墜不可能らしく、
あくまで中〜近距離の弾道ミサイルが対象です。
それでも射程距離500q、到達高度160qとの事ですから、
ほとんど宇宙ロケットですね、これ。
こんなのが自衛隊の護衛艦から打ち出されるとはスゴイ時代になりました。
ちなみに、これも宇宙空間で使う以上、肉弾派男ミサイルで(笑)、
弾頭は敵に直接ぶつかって、運動エネルギーにより目標を破壊します。
こちらも比較的最新の対空&対弾道ミサイル弾、PAC-2。
ただしこれも原寸大模型です。
これはパトリオット ミサイルシステム(MIM-104)のミサイル部分であり、
湾岸戦争当時から導入されたのが、このPAC-2です。
ちなみにパトリオット ミサイルの名は発射装置からレーダー、管制コンピュータまで揃った
兵器システム全体の名称であり、そのミサイル部分のことではありませぬ。
ミサイル単体では、PACシリーズとなるわけです。
とりあえず2014年現在、PAC-3まで進化してるようです。
そもそもは地対空ミサイル(SAM)として開発されたのが
パトリオット ミサイルシステムですが、
現在は低弾道の弾道ミサイルまで迎撃可能とされています。
ただし、最大射程距離は150q前後、
弾道ミサイル迎撃時の最大到達高度は80q前後に過ぎないと言われ、
上で見たスタンダード ミサイルに比べるとかなり見劣りがします。
対弾道ミサイルに関しては気休めくらいに
考えた方がいいかもしれません。
ちなみにこれ、F-15Cからの発射もやればできるそうなんですが、
そうなるともう少し高度が上がるんでしょうかね。
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