■標的機がドロン

ドイツのV-1飛行爆弾は有名ですが、
先に見たように、これをコピーしたルーンミサイルを
アメリカ軍は採用し、フォード社が量産しまくってました。

が、どういうわけか、アメリカ軍はV-1によほど深く感銘したらしく、
それではまだ足りぬ、とばかりに似たような機体をいくつも開発してます。
特に海軍が無人標的機としてパルスジェット機を造りまくりました。
ここではそれらをまとめて紹介しませう。



KD2C-2 スキート 無人標的機(Target Drone)。 
アメリカの場合、無人機や標的機といった特殊な用途の機体は
こういった強烈なオレンジ系の塗装をすることが多いですね。

その名の通り、海軍の射撃訓練用の無人機で、
実際に飛行する機体を使うことで訓練の質を上昇させるためのもの。
戦後のアメリカでは、結構熱心にこの手の機体が開発されてます。

展示の機体はマクダネル社が開発していた
パルスジェットエンジンを細長い胴体内に搭載しており、
リモコン操縦で飛ばすことが可能だったそうな。

ただし、1947年に初飛行したものの、予想した速度が出ず、
さらにパルスジェットらしい燃費の悪さから、開発はキャンセルされてしまったとの事。



ケティディッド(katydid)、キリギリスという名のこれも無人標的機。

大戦直後に開発された、これまた海軍の機体で、
背中に積まれたスタイルからわかるように、
ドイツのV-1のものを参考に造られたパルジェットエンジンを搭載してました。

この機体は無線操縦で最大400q/hで飛行可能で、
艦隊空射撃訓練だけでなく、空対空訓練にも使われたんだとか。

ついでにキリギリスという名はパルスジェットの音に由来するんでしょうね。



XKD5G-1無人標的機。
これも戦後に造られた海軍のパルスジェット機で、性能不足から不採用になったもの。

戦後数年間の海軍は、なんでまた、
というくらいパルスジェットの標的機を造ってますね。

ちなみ展示の機体は1952年まで性能試験が続けられていたもので、
これはアメリカ軍が最後に使ったパルスジェット機なのだとか。



これもよく見ると背中にパルスジェットを背負ってます。
が、標的機ではなく、同じV-1の眷属ながら、
艦対地ミサイルとして海軍が開発していたゴルゴン II Cです。

見た目通り、V-1のコピーと言うか発展型ですね。
ただし戦争末期に開発されたものの、最終的にはミサイルとしてではなく、
レーダーテストや赤外線探知装置の開発試験用に採用されたそうで、
なんだかんだで100機近くが造られたのだとか。

こんな感じで、V-1のコピーだらけ、というのが戦後のアメリカ海軍の
特徴の一つとなっています。
さらに、ほぼ同じ時期にフォードが
例のルーンミサイルを造ってたわけですから、
この時期のアメリカ軍は、よほどドイツのV-1に魅力を感じていたようですね。


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