■次は宇宙だ
さて、今回からはジェームス
S マクダネル ハンガー、
いわゆる宇宙の館に突入です。
航空ハンガーに比べるとやや狭いのですが、それでも貴重な展示が
高密度で詰め込まれているステキ空間となっております。
ちなみに案内マップではヤケに主翼つきの機体が多く見えてますが、
中央はスペースシャトル、
その上のは巡航ミサイルで、実はここ、宇宙だけでなく、
弾道ミサイル、巡航ミサイルなどの展示も置かれているのです。
で、ここも可能な限り紹介して行こうと思いますが、
それでもあまりに細かい展示、誰も知らないであろう小型ミサイルなんかは、
基本的に省略しちゃいます。
でないと例によって終わらなくなってしまいますので…。
ボーイング航空ハンガーからはこの巨大通路で繋がってるのですが、
実は前回見た、レストア ハンガーに繋がる空中廊下からも入れます。
ちなみに、この空中廊下から見た時のみ、
ライトで映し出されたハンガーの看板(写真中央)がキチンと見える、
という仕掛けになってます。
ほとんどの人が気が付いてなかったので、機会があれば見てください(笑)。
おいおい、宇宙じゃなかったのかよ、と思ってしまいますが、
ジェミニ パラグライダー 調査機 A-1の名の通り、
これもジェミニ計画、すなわち宇宙開発の一環だったりします。
スペースシャトル以外の宇宙船は
大気圏突入カプセルで地球に帰還し、パラシュートで海に着水します。
回収用の空母を持っていないソ連や中国の場合は大草原に着陸させますが、
どちらも最後はパラシュートで減速して軟着陸、というのは一緒です。
が、当初NASAはそれじゃ芸が無いよね、と考えたのでした。
そこで突入カプセルにパラシュートではなく、
折りたたみ収納のパラグライダーの主翼を搭載、
大気圏内ではこれを使って飛行して、
砂漠の中にある地面の硬い乾湖などに着陸させよう、と計画したのです。
なんたって、マーキュリー、ジェミニの時代の宇宙飛行士はアメリカ最高峰の
パイロットの寄せ集めですから、大抵の機体は
操縦しちゃったでしょうから。
当初はジェミニ計画中から採用しようと考えられたようで、
1962年ごろの初期実験に使われたのがこの機体でした。
とりあえず主翼のテストが主目的らしく、いくつかのタイプが試されたとか。
ちなみに、この試験のテストパイロットを務めた一人が、
後に人類初の月着陸を果たす、ニール・アームストロングでした。
この三角翼は今でこそハンググライダーなどで普通に見かけますが、
そもそもはNASAのラングレー研究所で考案されたもので、
この実験後、民間に広まったのだそうな。
で、その後さらに本格的な実験に進み、これが造られました。
ジェミニ・パラグライダー ウィングです。
これだけ見るとただのパラグライダーに見えますが…
下にはジェミニのカプセルが付いてます。
しかし車輪つきの突入カプセルってのは、ほとんどビックリドッキリメカですね。
個人的にはテンション高い高笑いとともに、
「話は全て聞かせてもらった!」という感じに、これで宇宙からやってくる
スーパーヒーローものとか行けそうな気がするんですが、どうでしょう(笑)?
この機体は、ノース アメリカン社が開発に参加しており、
実際にこれを航空機から落下させ、
カリフォルニアの乾湖への着陸に成功してるようです。
が、車輪をどこにしまうんだ、という問題や、そもそもジェミニ計画は
極めてスケジュールがタイトだったため、
こういった新技術の採用は見送られたようです。
ついでに、よく見るとコクピットの横に三つ、グライダーマークがあるので、
3回実験に成功した、という事でしょうか。
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