■人が宇宙に行くのだ
宇宙服関連の展示。
右端のはアポロ計画の宇宙服です。
アポロ計画で使われた宇宙服はA7Lシリーズなんですが、
15号以降からA7-LBへと進化します。
展示のものは15号のとき使われた、そのB型です。
いろいろ変わったらしいのですが、最大の特徴は例のルナローヴァー、
月面車の運転のためのもので、地球の17%の重力しかない月で、
マンガみたいに座席から飛び跳ねないよう、固定ベルトを装着する
場所が腰の部分に取り付けられたのだとか。
ついでに、世界初の宇宙服のネコ耳化を果たした
歴史的なスペーススーツでもあるんですが、ここら辺りは後述。
一番下のが与圧ヘルメットで、これを宇宙服の上にかぶって、
ここに空気を満たす事で呼吸を行ないます。
が、これだけで真空中に出たら空気を入れすぎた風船のように、
内部の加圧で爆発的に破損する事になります。
さらに宇宙空間の有害な紫外線、さらに波長の高い高エネルギーの電磁波を
直撃で食らいますから、即死は免れても長生きはできませぬ。
よって、上に見えてるキンキラキンのバイザーを
その上に装着して月に降り立つわけです。
このキンキラキンのカバーは可視光線の波長のみを通過させ、
それ以外の電磁波を弾いて、人体を保護します。
同じキンキラキンでも、着陸船などについてるカバーとは別物です。
ちなみに展示の状態は最大面積開放状態で、
あまりにまぶしい時は左右に見えてる三角の部分を手前に引き出すと、
左右の部分を覆う四角いカバーが出てきます。
さらに夕撃旅団認定世界初のネコ耳宇宙服であるB型からは、
あの黒いネコ耳部分が上に飛び出した後で、手前に伸び
野球帽のような日除けのヒサシが追加されるようになってます。
アポロによる月面活動の記録写真を見てると、
同じ号の活動でも2種類の宇宙服があるように見えますが、
あれは単にこの日除け部分を展開してるかどうかの違いです。
その他の細かい装備とか。
ちなみに腕時計は11号のコリンズが持っていったオメガだそうで、
高級時計ばかりだな、この博物館…。
このオメガのスピードマスターという時計が耐久性と正確性から
当時のNASAの宇宙計画では常に採用されていたそうで、
各種記録に残された時間はこの腕時計によるものらしいです。
ちなみにクロノメーターの認定を受けてるらしいですが、
もしかして宇宙空間でも天測で位置を確認する可能性も考えてたんでしょうか。
手前のストップウォッチは地上管制官が使ってたものだそうで、
アポロ時代ではまだ手巻き式のストップウォッチでやってたんですね…。
ちなみに11号の発射カウントダウンも、このストップウォッチで測られたそうな。
左上のは髭剃りセットらしいのですが、
実際の飛行では一度も使われなかった、とのこと。
こちらもヘルメットですが、訓練に使われたもの。
右のはマーキューリーセブンの一人、ゴードン・クーパーが訓練中に使用したもの。
これも個人専用で、クーパーの頭に合わせて造られてるそうな。
中には会話用のマイクが見えてますね。
ちなみに、マーキュリーセブンのメンバーの名前は、
サンダーバード5兄弟の名前の元ネタとされたのですが、当然、2人余ります。
採用されなかった一人は病気が判明してマーキュリー計画から外され、
その後に復活、スカイラブで飛んだ例のスレイトンで、これはまあ、分かります。
が、残りの不採用の一人、ウォルター・シラーの理由が謎です。
彼はマーキューリーセブンの中でも、後にジェミニ、アポロ両計画に参加し、
実績は十分だと思うんですが…。
で、左のはスカイラブ計画の訓練中に使われたもので、
実際はジェミニ計画で使われたG4-Cという宇宙服のものからの改造らしいです。
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