■船の名はアポロ
なんだか巨大なワッカですが、これはアポロ宇宙船を
月に送り出したサターンV(5)ロケットの誘導装置部分。
ロケットは決められた角度で、決められた時間を、決められた推力で飛ばないと、
必要な高度と正しい方向に搭載物を打ち上げる事ができなくなるため、
かなり精密な誘導装置を必要とします。
サターンVの場合、ロケットの荷積みスペースはアポロ宇宙船で一杯であり、
誘導装置を積む空間がありませんでした。
なので、こういったリングを作り、ロケットの三段目の上に挟み、
アポロ宇宙船が載ってる最終段を分離するまでの飛行を制御していたのです。
ちなみに誘導装置の基本部分は
ドイツのV-2ミサイルの技術を流用してたとされます。
となると、この装置の開発は、V-2の開発責任者で、
終戦間際にペーネミュンデ実験基地を強行脱出して、
アメリカに強行(笑)投降、その後の宇宙開発計画の主導権を握ることに成功した
フォン・ブラウン閣下によるものでしょう。
前にもどっかで書きましたが、未だに世界最大級の事業計画だった
アポロ計画があれだけ上手く言ったのは
絶対ドイツ人が計画首脳陣にいたからです(笑)。
後の宇宙開発の手際の悪さ、特にスペースシャトルの事故の多さを見ても、
アメリカ人だけでは絶対無理だったと思います。
アポロ計画では訓練中の1号の火災という不幸な死亡事故はあったものの、
実際の飛行に関する致命的な事故は13号のみ、
しかも乗組員は無事生還、という完璧さは
後のNASAには求められなかったと思いますよ。
下から見るとこの巨大さ。子供と比べてみてください。
ちなみに彼の横にあるのはサターンV(5)ロケットの模型で、
本館にも2つありましたから、これで3つめとなります。
ちなみに内部のコンピュータはIBM製だそうですが、
今ならもっと小型にできるんでしょうね。
こちらはアポロの乗員が地球に帰還した後、
一時的に隔離されるカプセル状の移動隔離施設。
彼らが万が一、未知の細菌とかを月から持ち帰ってたら困るので、
こういった対策がとられたようです。
展示のものはアポロ11号の乗員が使用したものだとか。
よく見ると入り口にホーネット+3と書かれてますが、
これはアポロ11号の乗員を回収したのが空母ホーネットだったため、
乗員3名追加、といった意味らしいです。
(3人の密航者を閉じ込めた独房というジョーク、といった話もあるが詳細不明)
ちなみに2007年に訪れた空母ホーネット博物館にもこれの展示があったんですが、
今さらながら紹介するの忘れてるのに気が付きました…。
全部で4台造られたようなので、とりあえず半分は見た事になりますね。
ここで65時間の滞在が義務付けられていたので、
中にはトイレからキッチン、ベッドまであります。
ついでに“移動”隔離施設の名はダデではなく、空母は飛行士を回収後、
すぐに最寄の港に寄港、そこでこれを降ろすとトレーラーで飛行場に運び、
そこから空軍の輸送機でフロリダに飛び、
最後はトラックでジョンソン スペース センターに持ち込まれ、
そこで最終的な検疫を受けたようです。
こちらはアポロの指令船の多目的試験機(Boilerplate Command
module)。
地上でのさまざまな試験用にこういったものをNASAは何機か造っていたようで、
空母ホーネット博物館にも一基置かれてましたね。
ちなみにこの機体はハッチと機体内部だけがホンモノと同じ構造で、
他はアルミとファイバーグラスで造られた脱出訓練用のものらしいです。
ただし、周囲の浮き輪と上の気球は
アポロ11号が着水の時につかったホンモノを後から取り付けたのだとか。
本体は本館で見ましたが、こんな形で浮き輪部分まで保存していたとは。
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