■付属してる皆さん
その上で飛んでいた宇宙飛行士の人。
この後ろにくっついてるのが有人機動装置(Manned Maneuvering
Unit/MMU)と
呼ばれるもので、1984年に初めてスペースシャトルから命綱なしの宇宙遊泳に成功、
以後の活動で常に使われるようになった装置になります。
底面に3という数字が見えてますが、展示のものは♯3号ユニットと呼ばれるもので、
1984年に最初に宇宙遊泳を行なったのがまさにこれなんだとか。
最初の飛行の後は二度と宇宙で使われず、スミソニアンに寄贈されたらしいです。
スペースシャトルに搭載されていたマジックハンド、通称カナダーム(Canadarm)。
その名の通りカナダの宇宙協会による開発で、
展示のものは1994年から2011年まで、15回の宇宙活動を行なってるそうな。
スペースシャトル軌道船の荷物室に搭載されていたもので
搭載された衛星の出し入れなんかをやってました。
一種の荷積み用クレーンみたいなものでしょうか。
この先に宇宙飛行士が乗って作業する、なんて使い方もしていますね。
ちなみに無重力での作業用であり、軽量化の必要から強度は最低限に抑えられた結果、
地球上でこれを動かそうとすると破損してしまうそうな。
余談ながら、宇宙空間なら無重力、と思われてるフシがありますが、
地上150〜250kmでしかない宇宙飛行船の周回軌道高度で
消えてしまうほど地球閣下の引力は貧弱ではありませぬ。
地上より弱いとはいえ、十分下方向への力は働いてますし、
その重力は人間でも感じることができます。
あれは円軌道で地球に向け無限落下してる結果の見せかけの無重力です。
カナダームを後ろから。
ついでに上に見えてる軌道船の主翼の前縁が耐熱タイルではなく、
先に説明した強化複合炭素素材(RCC)によるカバーになってるのを確認してください。
コロンビア号の帰還時墜落事故は、打ち上げ中に落下した断熱材が
ここに衝突したのが原因となりました。
その傷ついた部分が大気圏突入時後の衝撃波後部の熱に耐えられなくなり破損、
まだマッハ10以上で飛行していたため、
高温、高速の気流が主翼内部に吹き込まれてその内部構造を破損させ、
あとは激しい振動の中で空中分解したと見られます。
ちなみに、初期型といっていいコロンビア号は後の機体とはいくつかの点で異なり、
実はこのカナダームも搭載されていませんでした。
なので、あの事故でもし宇宙にいる間に修理が可能だったか、
と考えた場合、非常に難しいとされるのですが、
あの時はたまたま、次のスペースシャトルが飛行準備に入っており、
大気圏突入を延期して、これで救助に行けた可能性は高かったと言われています。
ちなみにこちら側の機首の横には黒っぽい円形の部分が見えますが、
あれが搭乗用のハッチです。
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