■その他の民間機



少し時代を遡って、1920年代の機体、ベランカ C.F.。
イタリア系移民の技術者、ベランカさんが1922年ごろ製作したもので、
密閉式の客室と操縦席を持つ機体としては、
アメリカでも最も初期のものだとのこと。

ただし、商業的には成功せず、結局この1機の製造のみで終了、
この機体もエア・レースなどの参加したものの、
旅客機としては運用されなかったみたいです。




ノースアメリカン・ロックウェル シュライク コマンダー500 S。
1952年から発売が開始された双発民間機(陸軍も採用してるが)です。
元々はロックウェルの機体ですが、経営不振のノースアメリカンと合併後、
このような長い名前となってしまいました。

ちなみに、ロックウェルのエアロ コマンダー500とそっくりじゃん、
という印象ですが、どうもターボプロップエンジンのがエアロ コマンダー、
ピストンエンジン機がシュライク コマンダーという名称になるようです。

でもって、この機体は、元テストパイロットであり、大戦中に捕虜収容所を脱走、
Fw190を強奪してオランダまで逃げ切ったという伝説を持つ、
アクロバット飛行家、ボブ・フーバーの愛機だったもの。

アクロバット飛行というと軽快な単発機を思い浮かべますが、
フーバーはこの双発機でやってしまっていたのでした。
2014年現在、92歳で存命の彼ですが、
とりあえずアメリカでも最も有名なパイロットの一人だと思われます。

ちなみに、今回初めて知ったのですが、例の人類初の音速機、
X-1の予備パイロットだったのがフーバーだそうで、
もし飛行当日、イェガーの怪我がバレて交代となっていたら、
彼が人類初の音速飛行男になっていた可能性もあったそうな。



こちらはステルス機みたいなV字型の尾翼で一部で人気の、
ビーチクラフト モデル35 ボナンザ。
1947年に発売された民間用小型機です。

ちなみに解説板にはこの機体は21世紀に入っても生産が続いてる、
といった事がかかれてましたが、それは普通の垂直尾翼を持った、
35以外のボナンザで、モデル35は1980年代に生産が終わっていたはず。

垂直尾翼と水平尾翼を合わせてしまったのがV字尾翼ですが、
正直なところ、何を狙ってこの構造にしたのか、よくわかりませぬ(笑)。

1947年の民間小型機としては画期的な、
引き込み脚を持った高速機なので、
なんらかの空気抵抗削減をねらったんでしょうかね。

あるいは単に、尾翼が1枚減って、重量もコストも下がる、
といった辺りの話だったのか…。



グラマン社による水上機、G-21グース。

独特なスタイルですが、これも各地の博物館でよく見る機体です。
ちなみに1937年初飛行のこの機体、グラマン社初が満載だったそうで、
まず単葉(主翼が1枚)機が同社初、双発エンジンも同様、
さらに民間用の機体もこれが最初だったとか。

でもって、この機体も郊外住宅地から都市部への移動手段にしよう、
というのが当初の考えで、ニューヨークなど海岸沿いの
大都市における“空飛ぶヨット”としての需要を見込んでいたそうな。

どうも先に見た空飛ぶ車といい、この時代は、真剣に一般市民が
日常の移動手段として用いる飛行機、という考えがあったようです。

が、当然、そんな市場は存在せず、
本来なら大失敗に終わりかねなかったのですが、
車輪つきで地上でも運用でき、さらにグラマンらしい(笑)
頑丈な構造からアラスカなどの僻地で重宝され、
戦後は、世界中で使用される事になったようです。

そういや自衛隊でも使ってましたね。
ただし、総生産数は350機前後で、意外に少なかったりします。



NEXT