■戦いと戦いの間で
お次は、有名どころ、ボーイング N2S-5スティアマン(Stearman)。
1934年代に初飛行、約1万機造られたと見られる大ベストセラー練習機で、
第二次大戦中まで、初等練習機として使われていたようです。
型番N2Sは海軍用の機体で、これだけで4000機近く生産されてます。
で、この黄色い塗装は海軍練習機の特徴なんですが、
どうも例の第二次大戦機 英米編で紹介したN3Nの愛称、
イエロー ペリル、黄色い危機という愛称は名は、この機体が最初で、
以後、代々海軍の練習機に受け継がれていったもの、といった話ありにけり。
ただし、スティアマンにはケイデット(Kaydet)という愛称もあり、
二つの愛称を持つ機体、といったとこでしょうか。
ちなみにKaydetなる英語、私は知らないので辞書を引いてみたら出ていない…。
Cadet(士官候補生)のもじりですかね。
でもって、こちらはそのスティアマンの陸軍型、PT-13。
わざわざ、陸海両方の機体を展示しないでも…と思いますが、
それだけアメリカ人には思い入れのある機体なんでしょうかね。
こちらも有名どころ、パイパー J3 カブ。
約2万機(国外生産分含む)造られたと見られてる、
1937年生産開始の傑作小型機です。
でもって大戦中はこの手の機体大好きアメリカ陸軍も採用、
近距離偵察機のO-95、連絡機のL-4は、ともにこの機体を基に軍用としたものでした。
ちなみに海軍もNEという名前で使っていたとされます。
愛称のカブ(Cub)は新入り、研修生、あるいは幼獣といった意味ですが、
この機体以後、アメリカ軍では小型機を指す単語になってしまったそうな。
なのでホンダの小型バイク、カブ、そこから派生したスーパーカブは、
この機体、というか終戦後、日本中に溢れてた米軍の小型機の俗称カブから、
名前を取ってるんじゃないでしょうかね。
ここからは民間機をいくつか。
まずは1920年代のアメリカ国内郵便飛行機として使われたダグラスM-2。
私としては、全く知らない機体となります、はい(笑)。
ただ郵便用の機体には、すぐにより大型のものが使われるようになり、
ほんの数年の使用で終わった機体らしいです。
ついでに、これは変な命名法の機体で、M-1〜4まであるんですが、
どれもほぼ同じ機体なのに、納入先の郵便会社が変わると
その名前も変わる、というものになっています。
ちなみにM-2は、ウェスタン エアー エクスプレス社用の機体。
これも民間機、アロウ スポート A2-60。
でもって、これまた私は全く知らない機体ですが、
1929年、よりによって大恐慌の年に発売された機体なのだとか。
胴体に一つしかコクピットの穴が開いてませんが、
実は二人乗りで、横に並んで座るようになってます。
言われてみれば、横長の穴ですね。
さらに左右のどちらの席からでも操縦できたんだそうで、
この構造から、民間の練習機として人気だったとか。
ついでによく見ると主翼の間に張線、翼を固定するためのワイアが
全くないのに注意しといてください。
当時としては最先端の構造だったそうな。
個人的にはコクピット前にぶら下げられた、
謎の袋状の物体が気になりますが、なんでしょうね、これ。
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