■エンジンのあるなし



さて、お次はドイツの双発戦闘機2号、こちらは普通に主翼にエンジン2発の
ハインケルHe219ウーフのA型です。
独特な面構えの機体で、結構カッコイイと思います。
でもって、これも世界中で唯一の現存機。
スゴいんですよ、ホントにここは(笑)。

といっても前回来たとき同様、胴体だけの展示…と思いきや、
後ろの方にエンジンとナセルが2発、並んでました。
8年かかってここまでか…と思うも、とりあえず後は主翼と脚回りを組んで
接着してデカールを貼れば完成、という辺りまでは来てるようです。
あ、あとレーダーアンテナと武装がまだだわ。

P-38のところで説明したように、当時、各国で流行中だった双発戦闘機で、
これも後から夜間戦闘機に改修されたもの。
とりあえず、ドイツが運用した夜間戦闘機の中では最高の機体だったとされ、
1943年の実戦デビューの際、一晩で5機の爆撃機を落としたと言われています。

展示の機体は終戦後、イギリス軍がデンマークで接収し、
アメリカ軍に引き渡したものだとか。
とりあえず、アメリカでも13時間の飛行記録があり、
それらの調査後、スミソニアンに引き渡されたようです。



で、現状はこんな感じの展示になってます。
以前はもっと機体に近づけたんですが…。
ちなみに、上から見て初めて、機体手前に主翼の一部らしい展示があるのに気が付く。
補助翼(エルロン)でしょうかね。

機体の後ろに展示されてるのがエンジン部で、ナセルのカバーを外した状態です。
これもDB603系を2発ですから、
エンジン周りだけを見れば先に見たDo335と同じなんですね。
同じエンジンの双発戦闘機で、両者、これだけスタイルに差がある、
という辺りが航空機の奥の深さかもしれませぬ。



なんじゃこりゃ、という展示ですがこれもドイツのホルテン(Horten) H-III(3) h。

いったいどれだけHなんだという名前ですが、アメリカにノースロップの無尾翼あれば
ドイツにホルテンの無尾翼あり、と言われる、ホルテン社による無尾翼実験機です。

ただし、これは無動力のグライダーで、どうも主翼部分は失われてるようです。
おそらく、こりゃもうレストア無理だわ、という事でここに展示されてるんじゃないかと。
実際、先に見たHe219や後で見る屠龍など、ここで完成前に展示されてる機体は、
その段階でレストア一段落、と考えられてるらしいものばかりですから。
ちなみに、これも機体が茶色いのは錆ではなく、木製のためですね。

でもって、1944年製のほぼ手作りのグライダーらしく、何度か改修されてるうちに、
名前も変わってたそうで、このH-III(3) h というのは推定によるそうな。



後ろから見るト、こんな感じ。
コクピット周りが垂直尾翼のような安定板を兼ねてるのがわかりますね。

これは元々、アメリカ空軍が所有していたものらしいのですが、その詳しい由来は不明で、
1966年にスミソニアンに寄贈されたものだとか。

ちなみにスミソニアンは、ホルテンの無尾翼ジェット、H-IV(9) V3も持ってますが、
こちらはまだ展示されてませんでした。
レストア作業には入ってる、と聞いてるんですけどね。


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