■ピラミッドの謎を追え



こちらはやや汚い紙切れのようにみえますが、
これは大陸通貨(continental currency)です。
例のフィラデルフィアにあったアメリカ議会が独立戦争時に、
戦費確保の目的も兼ねて発行していた紙幣がこれです。
(独立宣言後なので大陸会議ではない)

アメリカにしちゃ悪くないけどね、とイギリス人に悪口を言われた、
と伝えられるくらい、ある意味伝説級にショボイお札ですが、
これだけ並んでるのは初めてみました。

歴史あるものですし、アメリカ人大好きな独立戦争時の遺物なんですが、
なにせホントにショボクて(涙)コレクションには向かず
このため50〜100ドルくらいで今でも簡単に購入できるものが多いです。



が、その中の一枚、50ドル札の絵柄に注目。
これ、テッペンが無いピラミッドです。

ピラミッドはいうまでも無く石でできており(笑)、
さらに数学的に厳密に設計されてますから、
フリーメイソンの皆さんが大好きなシンボルです。

で、1778年に発行された、この大陸紙幣の50ドル札に書かれた変なピラミッドが、
ある意味、アメリカの象徴になって行くのですが、
ここの展示でも無視されるくらい(笑)
一般には知られて無いので、せっかくだからここで書いときます。

このイラストはホプキンソン(Hopkinson)なる人物が描いたとされますが、
彼がフリーメイソンだったかはわかりません。
が、石大好きフリーメイソンの好む古代エジプト&ピラミッド絵柄で、
さらにこれ13段の石段となっており、微妙にアンチ・キリストの匂いがします。
おそらく彼はフリーメイソンでしょう。

で、これだけならどうって事がなかったのですが、
独立直後にアメリカ合衆国の国章(Great Seal of the United States)
を決めるにあたり、その裏面に、なぜかこのデザインが流用されてしまいます。

裏面とはいえ、アメリカの国章にピラミッドというのは、
日本の国鳥にペンギンが選定されるくらい不思議な取り合わせですが、
当時の政府や議会には多くのフリーメイソンが居たからでしょう。
間違いなく、フリーメイソンリー的な図柄で、
それ以外にこんな絵を採用する理由がありません。

ちなみに、独立時には大統領のワシントンだけでなく、
当時の政府の有力な一員、
ベンジャミン・フランクリンなんかもフリーメイソンでしたし、
独立宣言に署名した人の中にも多数のフリーメイソンが居ました。



ここでちょっと脱線。
アメリカで一番安い紙幣こと1ドル札は、実はアメリカの顔だったりします。
なにせ表はアメリカの初代大統領で世界一有名な人物かも知れないワシントン、
そして裏面がこれです。

左が目玉とピラミッド、右がバンザイしてエプロンつけたワシで、
アメリカ人は何を考えてるんだ、と思っちゃいますが、
よく見ると図柄の下に国章(The Great Seal of the United States)の文字が。

そう、左右の怪しい絵柄はアメリカの国章なのです。
日本の場合、国璽(こくじ)と呼ばれる天皇陛下のハンコになってしまうのですが、
欧米では垂らした蝋などに押し付けて使うSealが国家の実印となります。
個人の契約の印はサインなのですが、
国家レベルの書類には、これを押すのがしきたりです。

ついでに、これまた知られてませんが、
フランスの国章はガッツポーズする自由の女神です(笑)。
ええ、あのニューヨークとパリにある彼女ですね。

で、国章には裏と表があるのが普通で、アメリカの場合、右のワシのマークが表。
これは大統領記者会見の演台などについてたりするので、
見た事がある人も多いはず。

そして左側の怪しいピラミッドがその裏面で、
これが先に見た大陸紙幣の50ドル札のイラストの流用なのです。
こちらは国章としてはあまり知られておらず、
アメリカ人でも1ドル札の変な絵柄、くらいの認識かもしれません。

ちなみに、表面のワシのデザインは決定までに二転三転してるんですが、
(当初はワシじゃなく人物だった)
この裏面はけっこうあっさり決まってしまったとされます。



ちなみにその国章裏面をアップにするとこんな感じ。
大陸通貨の50ドル札にあったピラミッドだけではさみしいので、
という感じでその上に三角形の光る目玉が追加されてます。

これは先に見た“全能神の目”で、
こちらは三位一体を象徴する三角形に囲まれてます。
多少はキリスト教徒風ですが、実は下のピラミッドは
キリスト教徒にケンカを売るがごとく、13段のままです(笑)。

ついでに上下に書かれた文字はラテン語で、
“それは引き受ける事をよしとした”
“新秩序の世紀たちが”
といった意味ですが、何が言いたいのかはよくわからず。
ただしこれ、アメリカの国家認定モットーらしいです。

ここら辺りもフリーメイソンの影響でしょうかね。



さて、部屋の左右にはこういった椅子が置かれてます。
まずは入口に近い方から。
おそらくロッジ内のフリーメイソンの中でもエライ人が座った席でしょう。

とりあえず階段は2段なのを覚えて置いてください。



その左右には、これもフリーメイソンリーが大好きな
地球儀と天球が飾られてます。

これも神に変わって世界を支配よ、というメッセージにも見えなくも無く…

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