■さらに屋上周りを



反対側に出て、操舵室を振り返る。
実は操舵室の屋上も見張り台のようになってるんですが、
ここが何のための空間なのかはよくわかりませぬ。

ついでに、ああ、ホンマやんけ!と思った方もいるでしょうが、
操舵室前の前部マストが後ろに傾いてるのにも注目。
これは最初に説明したように、非常時にはここに帆を張るからです。

帆船のマストは後ろから風を受けてるため、風で押し倒されないよう、
必ず少し後ろに傾けて設置してあったのです。
USSオリンピア、非常用とはいえ意外に本気で帆船をやってるのがわかります。

ちなみに、逆を言えば正面からの風だと帆は倒れやすく、
このため、帆船が帆を張った状態で正面から強烈な向かい風を受けるのは、
極めて危険な状態となりました。



艦橋前にある前部マスト。
当然、鉄製です。
オリジナルの状態では上部の後ろに、小さな支柱が出てました、
おそらく例の非常用の帆を張るためのものでしょうか。

帆船時代のマストのように、転倒防止対策として前後左右からワイアで固定したり、
よく見ると上の見張り台へと登るのは帆船のような縄ハシゴ(シュラウド)だったりと、
19世紀末から20世紀という過渡期の船だったのだなあ、という感じがします。
ただし、ここも上半分以上は一度失われておりオリジナルではありません。



そこから屋上部を振り返るとこんな感じ。
この辺りも、本来は木製甲板だったと思われます。

手前のクレーンは、ここにあった短艇(カッター)の上げ下ろし用。



その短艇が置かれていた固定具部分。
これらの装備も残ってたら、もう少し寂しくなかったのかも、



艦橋から下に降りると、煙突の後ろに鐘がありました。
艦中に時刻を知らせる時鐘でしょう。
腕時計はもちろん、時計が貴重品だった時代に、
艦内に時計はほとんどなかったため、これで時刻を知らせてました。

単にそれだけのはずなんでんすが、軍艦では、
鐘ごとに艦名が刻まれて、その艦を象徴するシンボルとされてたりします。
ちなみに現在の海上自衛隊の新型護衛艦にも積まれており、
ここら辺り、実はまだまだ実用的な装置なのか、
それとも海軍にとって何かの象徴なのか、私にはよくわかりませぬ。



そこにあったサンフランシスコのユニオン鉄工所のプレート。
写真で説明するのを忘れたのですが、似たようなものが、
機関室上の明り取り窓の下にもありました。


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