■人はどこまで贅沢になれるのか



でもって、これが船長だか提督だかのバスルーム。

さあ、さっきの水兵さんのトイレを思いだして涙しませう。
シャワーにはカーテンレールも付いており、
ノゾキ、デバガメ対策もばっちりです。
問題は誰がそんなものを覗くと思ったんだ、という点でしょうか。

ちなみに、なんで便器が常に窓ぎわにあるのか、は
先の灰排出口とあわせて、考えればわかりますね(笑)。



こちらはそのその提督だか艦長だかの専用洗面所です。
いや、もうこんなもの搭載するために
軍艦造ってるんじゃないはずなんですがね、ホントに(笑)。



実はほとんど同じものがもう一つ。
窓周りが微妙に地味なので、こっちが艦長用ですかね。

ついでながら、この意味もない贅沢文化はイギリス海軍ではさらに醜悪でした。
後にドレッドノート級戦艦の建造を推し進めるなど
イギリス海軍の改革で有名になる
“サー”ジョン・フィッシャー(John Fisher)は
提督時代に地中海艦隊の指令をやってましたが、
彼が乗艦していたHMS レナウンにおける
1900年ごろの執務室の写真が残ってるんですが、これがスゴイ(笑)。

花柄のカバーの付いたソファー、何枚もの絵画、どうも暖炉らしい装備、
豪華なテーブルカバーのかかった机、
そしてなんとピアノ(笑)まで持ち込んでます。

かれは実力でその地位に着いた一代貴族であり、
いわゆる上流階級の世襲貴族の出身ではないのですが、
それでもまあヴィクトリア時代の貴族趣味丸出し、
という部屋で仕事をしていたのでした。
世間知らずの成り上がりもの、とういう印象がぬぐえませぬ。

ただしフィッシャーはユーモアのセンスもある有能な人物なのですが、
それでも、本国で多くの貧困層が苦しんでる時代に
税金で何やってるんだよ、という感じですね。



その5インチ砲の砲座から外を見る。
この丸窓付きのカバーが外され、広々とした状態が戦闘状態で、
これでようやく左右に砲身を向けられるようになったわけです。

ちなみに砲の下、台座前部が装甲板になってるのも注意しといてください。
後の軍艦からすると気休めみたいなものですが、
これでも当時砲弾相手なら、ある程度有効だったのでしょう。



最後はまた前部に戻って、5インチ砲の砲座周りを。
よく見ると手前の砲と奥の砲、いろいろ異なるのが判ると思いますが、
なにせ資料がないので、何がなんだかよくわからん、としておきます。

元々、オリジナルの状態が保存されてるわけではないですしね。

という感じで、今回の本編はここまで。


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