■艦上の生活
こちらは練習用の砲弾と、装薬代わり木の筒。
改修後の51口径5インチ砲では戦艦の主砲と同じく、
砲弾と装薬は別だったので、
これはそちら用のものだと思われます。
その先にあった砲弾。
何の説明もなかったのですが、5インチとは思えない大きさなので、
主砲の8インチ(203mm)砲のものじゃないかなあ。
しばらくガランとした空間になりますが、正面の扇風機のあたりに、
本来はもう一門5インチ砲が搭載されてました。
で、この辺りに例のアメリカ海軍最初の冷蔵室があったようなんですが、
残念、見つけられませんでした。
その先にあったのが厨房で、電化前の時代ですから、
オーブンなんかは石炭用でしょうね。
まあ、石炭なら誰もがウンザリするくらい積まれてましたし。
中央の鍋も下が石炭のコンロだと思ったんですが、
よく見ると床から配管が出てまして、もしかしてこれ高圧蒸気の熱を使ってる?
で、この艦上構造部の第一階層も
後部に行くとエライ人の部屋になって、まるで別世界に(笑)。
この階層は、艦長と艦隊指令の居た区画になっております。
五インチ砲の部屋で、なぜここまでする必要があるのやら。
このテーブルの配置がホントに当時のままだとすると、
あの5インチ砲尾部の回転エリア内にあるこのテーブルとイスを、
砲撃戦のつど、片付けねばなりませぬ…。
とりあえず、こういった士官クラスの意味のない贅沢のルーツは、
間違いなくイギリス海軍でしょう。
アメリカの場合、海軍の人材が基本的に不足気味で、
フランス革命前後からナポレオン戦争、そして1812年戦争前まで、
ヨーロッパでイギリスの士官や水兵をかなりの数、雇い入れたようです。
その影響がこの時代まで、濃厚に残っていた印象ですね。
ちなみに生き地獄と言うべき(笑)ネルソン時代のイギリス海軍に比べ、
アメリカ海軍は待遇がよかったそうで、
この結果、イギリスの軍艦から大量に人的流失が起きます。
ところがナポレオンのフランス相手に大量の軍艦を導入した
当時のイギリス海軍も完全に人手不足でした。
この結果、悪名高い強制徴用、
海兵隊のいかつい集団がワーッと街中に乗り込んで、
有無を言わせずその場に居た若者を片っ端から
さらって来てしまい、それを軍艦に放り込んでそのまま出航、
という手段が首相公認というか黙認(笑)の下で行なわれてたりします。
そこまでして集めた船員に逃げられてはイギリス海軍もたまりません。
ところがアメリカ側は、船員確保ねらいで、ヨーロッパ各地の港に
何隻かの軍艦を送り込んでおり、同じ港にイギリス艦が入ると、
そこから大量脱走、アメリカ艦に亡命(?)してしまう、
という事態が頻発、両軍にらみ合いが続く、という状態だったようです。
このため入港した港にアメリカ艦が居ると、
イギリス艦は乗員の上陸を禁じてしまったそうな。
そのような形で持ち込まれたのが、階級社会の権化、
イギリス海軍のこの文化なのだと思われます。
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