■5インチ砲のある生活
階段を登るといきなりこれ。
艦上構造部の第一階層に左右で計10門置かれていた5インチ(127mm)砲です。
USSニュージャージーの場合、主砲の射程距離が40qとかの世界ですから、
10q以下の射程距離しかない5インチ砲は近距離兵器ですが、
この時代だと8インチ(203mm)の主砲でもせいぜい10q届くかどうかの世界ですから、
これも十分主力兵器だったでしょう。
この時代でも5インチ砲なら5〜8q前後の射程距離があったはずですし。
ただし、現在の展示では左右4門ずつの計8門になっています。
さすがにデカイな、というのと同時に、どうもこれ人力で回してたようです。
まあ、やって出来ないサイズではないでしょうが…
ついでに乗艦時にガラス窓で驚いた航海時の砲身固定具ですが、
お偉いさんが乗っていない艦前部ではこんな感じに
丸窓がついた普通のカバーになってます。
砲戦時にはこの窓のカバーを全て外して、
砲が左右に動けるようにするわけです。
これが、えらく厳重に取り付けられてるのにも注目。
この部品は左右に開く事も出来たように見えるんですが、
現役時の写真を見ると、砲の使用時にはネジ止めごと外して、
艦内にしまいこんでしまってるようにです。
ついでに、手前の解説板でちょっと見づらいですが、
周辺に装甲板が貼り付けられてるのにも注意してください。
これは後から追加されたものなのか、ボルトで留めらています。
ちなみに現在8門搭載されてる5インチ砲のうち、
USSオリンピアが最初に積んでいた
5インチ40口径タイプの砲はおそらくこの1門のみとなります。
他のは1907年に採用された新型の5インチ51口径砲で、
これは一度退役して復帰した後に、改修工事で取り付けられたタイプです。
実際には砲弾が異なる砲を混在させる事はありませんから、
これは博物館の展示として修復するにあたって、
手に入った砲をとりあえず積んじゃった、というところでしょうか。
まあ、とりあえず雰囲気を楽しんでおきましょう。
こちらが改修後に積まれた新型の5インチ51口径砲。
砲身が見えないので口径長の比較ができませんが、
先に見た40口径とは台座部とかが完全に別物なのはわかるかと。
ただしこれも、いくつかのタイプがあり、全てが同じものではありませんでした。
もしかしたらパーツが欠損してるだけかも知れませんが、
そこまでは私にはわからず…。
砲身の上についてるのは砲弾運搬用のクレーンですかね。
でもって、この周辺を見る限り、砲弾用の昇降機は一切見当たらず。
となると、砲戦時にはこのあたりに砲弾を積み上げて
撃ち合ってたんでしょうか。
こちらは5インチ砲の砲弾の展示。
かなり小さいので、最初に見た旧型40口径用のものでしょうか。
ちなみに右側に見えてるのは四分儀で、
本来は星の高度(水平線からの角度)を測定して
現在地を確認するための道具なんですが、
砲術用四分儀という説明があったので、砲の照準をつけるための道具なのかも。
横向きにおいて、敵の方位を測ったのかなあ…。
とりあえず詳細は不明としておきます。
こちらはその薬莢ですかね。
アメリカの5インチ砲の場合、砲弾と装薬を別にしたものが多いのですが、
40口径のは薬莢式だったんでしょうかね。
ただし、この5インチ40口径砲、ほとんど資料が見つからなかったので、
詳細は不明としておきます…。
ここは主甲板(Main
deck)と呼ばれてるそうなんですが、
前部はこういった水兵さんの生活空間、後部が艦長から提督クラスのお偉いさんの空間、
という感じで、基本的には下の階と同じような構造です。
ただし、この階には艦内唯一の厨房があります。
つーか、こんだけ内部が生活空間だらけの軍艦はさすがに初めて見ました(笑)。
NEXT