■あくまで発電用
ここが前部機関室。
ほぼ同じ構造の後部機関室とあわせ、前後、二つあります。
写真は後部の方。
エンジンは発電機と一体化されていたようです。
機関室は、稼動時には常に相当な騒音と熱を持っていました。
最大出力まで上げると、機関室の温度は
華氏で120度(摂氏49度)にもなったそうな。
ほとんど水分なしのサウナみたいなものですから、
とても長時間は耐えられなかったでしょう。
ついでに、騒音のため通常の会話は不可能なんですが、
航空機や戦車のように座席に座った仕事ではないので、
有線のマイクとヘッドフォンは使えず、
全て一種の手話、指のサインで会話を行なったんだとか。
そのエンジン周り。
なんだか小さいなと思ってしまいますが、これはエンジンの上、
シリンダーヘッド部分あたりだけが見えてるため。
ここは実は2階ぶちぬき構造で、この下の階層までを使って、
巨大なディーゼルエンジンを左右で2基搭載してます。
当然、後部機関室も同じなので、計4基のエンジンが積まれ、
これで発電機を回してるわけです。
シュノーケルの採用によって、
これが水中でも運転できるようになったわけですが、
凄まじい騒音を出しますから、敵艦が付近にいる、
という場合は運転をやめたはずです。
さらにシュノーケルも水上では結構盛大に航跡を残しますから、
敵の航空機からなら発見はたやすく、
これまた、意外に使用どころは限られました。
決して万能というわけではなかったのです。
バラオ級は、なぜか艦ごとに2種類のエンジンを採用していたのですが、
USSベキューナに積まれていたのはゼネラル モーター(GM)製の方、
V16型 16-278Aエンジンでした。
ちなみに一基あたり1600馬力だったそうで、
凡そ大戦時の航空エンジンを4基搭載、という感じになりますかね。
まあ、航空用エンジンとは比べ物にならない巨大さですが。
とりあえず、これで発電を行なうのですが、
発電機から直接モーターを回す事はできず、
必ずバッテリーに一度蓄電してから使用したとのこと。
ついでにサンフランシスコで見たUSSパンパニトは別のエンジン、
フェアバンクス・モースの10気筒水平対抗ディーゼルエンジンだったので、
両者の印象がまるで違うのにも驚きました。
よく同じ設計の空間に、V16と水平対抗を収めたなあ…。
参考までに、これがUSSパンパニトの10気筒水平対抗エンジンの機関室。
これも機関室ごとに左右2台のエンジンがあるのですが、
ご覧のようUSSベキューナのものとは完全に別物です。
ついでに、こういった空間でキチンと正しい16:9比率で視界を切り取れる、
パナソニックLXシリーズカメラのすごさを感じておいてください(笑)。
天地の画素を切り取って16:9でーす、なんていうフザケたヘナチョコカメラでは
逆立ちしても撮影できない光景です。
これゆえに、私は他のカメラを使う気が起きないのでした。
ちなみにバラオ級の場合、最初から別のエンジンが艦ごとに搭載されていたようで。
エンジンの違いは、グッピー改修とは無関係のようですね。
同型艦でもエンジンが全く異なるのもあるんだな、という例です。
その操作用盤らしき部分。
当然、何がなにやらわかりませんが(笑)、
よく見ると右のパネルのランプが点灯していて、
この艦、まだまだ生きてるのだなあ、と思ったり。
で、先に書いたように会話は不可能ですから、
司令塔からの指示も、視覚的に読み取れる指示器を通して
行なわれてたはずなのですが、
それらしいものは見当たりませんでした。
後部機関室のエンジン周り。
よく見るとエンジンのシリンダーヘッド部分に文字が書かれています。
どうも4基のエンジンそれぞれ名前が付けられていたような感じが。
4番エンジンが不調、へー、そうなんだ、
というよりも、ポチが不調だ、それはなんとかしなければ、
というやる気の出し方を狙ったんでしょうか…。
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