■ラストスパート
で、先の砲塔長の席に行って見ると、その横にこれがありました。
おお、主砲照準用装置の一つ、Range
keeperですね。
これが射撃照準用のアナログコンピュータとなります。
周囲の消火栓の弁みたいなダイヤルが入力装置で、
メータを見ながらこれで必要な数値を入力します。
Range
keeper、距離保持機はその名の通り、
敵艦と自艦の位置関係を常に計算で保持する機械です。
ただし、日本だと射撃盤という翻訳をされる事が多いようです。
これは砲塔搭載用の小型のもので、型番は不明。
アメリカ海軍の砲術マニュアルでは、
予備(auxiliary)コンピュータと呼ばれています。
その名の通り、艦内にあるメインのMk.8 射撃盤の予備で、
例によって砲塔の判断で射撃を行なう事態になった時のための
非常用だと思われます。
ただし戦闘中、いつ必要になるかわかりませんから、
常に動かしてはいたはずです。
とりあえず最初に敵艦と自艦の速度、
進行方向、風速と風向きなどを入力すると、
以後は中に積まれたアナログコンピュータが、
自動的に両者の位置関係を計算、そのデータを示し続けます。
奥が敵艦の進行方位、手前が自艦の進行方位で
どこかに両者の現在距離(照準線距離)が表示されてるはずなんですが、
残念ながら、私にはわかりませぬ…。
ただし当然、敵艦が親切に速度と進行方向を
連絡してくれるわけはありませんから、これを測定する必要があります。
なので誤差5m以下とされるMK.8射撃管制レーダーの
存在は大きかったわけです。
(誤差数m以下なら数秒間隔の連続測定が可能で、
瞬時に正確な進行方向と速度が出る。
対して誤差数百m単位の測距儀では一定時間を空けないと
データを得る事はできない上に、正確性でも劣る)
で、計算で相手の動きを予測して示す、という事は、
これは敵の未来位置の予想をやってるわけです。
よって、データと計算結果に誤りがなければ、
砲弾到達までに必要な1〜2分後の敵艦の予想位置、
目標がいるはずの場所に向けて
砲弾を撃ち込めば、弾は当たるはずという事になります。
射撃管制装置とレーダーは、
この射撃盤のためのデーターを集める装置なのでした。
といった感じで砲塔内の見学は終了、退出します。
でもって、これにて主要な施設の見学は終わりましたから、
総員、退艦準備ザンス。
で、最後にトイレの写真(笑)。
余談ですが女性用トイレもありました。
これが1982年の近代化改修によるのか、
博物館になった時のものなのかはわかりませんが、
少なくもとベトナム時代までは作戦行動中の軍艦に
女性は乗っていなかったはずですから、そもそもは装備されてなかったものでしょう。
退艦用の橋から振り返る。
主砲がほぼ水平位置になってるのに、再度注意しといてください。
あの状態でのみ、主砲は砲弾の装填ができるわけです。
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