■軍艦も船だ
こちらは水兵さんの階級章。
ちなみに水兵(Saillor)は士官ではない、現場仕事を行なう一般兵を指します。
が、この階級章は、水兵の中でも叩き上げの現場責任者である下士官のものでしょう。
下向きの“ヘ”の字が多いほどが偉い人で、三本線が最高位になります。
上のバンザイしてるワシとその下のマークは配属された部署を示すようです。
エジプトの象形文字みたいだと思いました。
一部をアップで。
ワシのマークの下の象形文字が配属先を示し、結構どんな仕事か見当が付きますね。
左上から右に人事、航法、射撃管制(未だに測距儀マークだ)、エンジン整備、
下段左からボイラー整備、機関部全体の維持管理、配管&電気関係、
最後の右下が艦内通信担当(電話機だ)で、これは後で見る艦内TVも担当してました。
ちなみに上の部分のワシの絵、
作画監督によってそれぞれ顔に違いがあるのがわかるでしょうか(笑)。
注目は下段、右から二番目の配管&電気関係で、
これだけ、鳥の顔も羽根も形が特に異なります。
どうみてもワシというよりはカラスで、
何か基本的な部分で情報の齟齬があったのか…
と思ったんですが、解説にもワシとカラスの絵、と書かれていたので、
もしかして、狙ってカラスっぽくしたんでしょうか。
しかし、なぜこの部署だけカラスなのかはよくわからず…。
「士官の服装の展示だそうであります、サー」
「え?じゃあ我々はずっと立ちっぱなしかね、君」
これは赤道祭(Line-crossing
ceremony)ですね。
おそらく18世紀末から19世紀ごろのイギリスの船乗りが始めたもので、
船が赤道を越えるときに、ドンチャンさわぎをやる、というもの。
それに伴って行なわれるのが海神ポセイドンに捧げる(?)寸劇で、
ご覧のような世も末といった三叉の矛をもったポセイドンを中心に、
喜劇というか、ドタバタ劇というか、そういうのを繰り広げます。
一般にこのポセイドンは艦長か高位の士官が勤めるようです。
で、この劇の間はやりたい放題ととなるため(笑)、
左後ろで死ぬほどうれしそうな顔をした男は、
この後、あの水吹きで艦長を襲う気でしょう…。
ずっと船内に閉じ込めらっぱなしの船員たちに対する、
一種のガス抜き、という意味もあったんでしょうね。
ちなみにドイツ海軍もこれが好きで、
なんとUボートでも浮上中に艦上でこれを行なっています。
終戦間際にドイツを脱出、アルゼンチンへと逃亡したUボート977は
その赤道祭最中に航空機接近の警報が出て、
ポセイドンやら女装した水兵やらが司令塔に殺到するハメになったとか…。
(ただし誤報だったのか敵襲は無かった)
こちらは現在地測定に必要な六分儀と、監視用の双眼鏡やら。
GPSは無いにしても、電波航法によってある程度は位置を把握できたはずですが、
大戦時あたりだと、まだ六分儀による位置測定は必須だったのでしょうか。
だとするとクロノメーターも必要だったはずなんですが、それは見当たりませんね。
ヒマなときに船員が遊ぶブランコ、ではなく航海中に
他の艦に移動するときにつかったゴンドラ。
艦の間にロープを張り、そこをロープウェイのように渡らせました。
停泊しなくても人の移動が可能になるわけですが、
怖かったと思いますよ、これ…。
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