■ハルゼーの船



で、そこを出るとこんな展示。
なんじゃこりゃ、と思ったら、先に書いたように
この辺りは1982年の近代改装までは艦体司令の提督と
そのスタッフのが居た区画であり、
これはその大戦期の提督の寝室を再現したものだとか。

ちなみに右手のベッドの上に何か表示があるので読んでみると、
1944年にハルゼー提督が使っていたベッドだよ、との解説が。
…微妙な展示だなあ(笑)。

あ、となると、あのどっかで見たような右側の等身大人形はハルゼーか。

で、ここで初めてUSSニュージャージーが
1944年6月以降、ハルゼー提督率いる第三艦隊旗艦だったのだと知る。
あれま、そうなんだ。
となるとレイテ沖海戦のアレ、Bull'S runことハルゼー大暴走をやった時、
このUSSニュージャージー艦上に居たのか、ハルゼー。
まあ、それでも圧勝しちゃうんですけどね、アメリカ海軍…。

彼はニュージャージー州の出身なので、
最新鋭戦艦のうち、この船が艦隊指揮用に与えられたんだそうな。

ついでながらちょっと脱線。
知ってる人は知ってるようにアメリカ軍の場合、
階級の呼び名が各軍で異なります。

例えば日本だと、どこの所属でも大佐なら大佐、一佐なら一佐ですが、
アメリカの場合陸軍はColonel、海軍はCaptainになるわけです。
まあ日本語にするならどちらも大佐なんですが。
で、面倒なのが両軍の最上位階級の翻訳。

日本語でも陸軍は元帥、海軍は提督と呼び分けるのが普通だからです。
さらに面倒な事に、アメリカ海軍の場合、先に見たように
提督の上にさらに艦隊提督が出てきてしまいます(笑)。

が、海軍大将、海軍元帥はやはり語感としておかしいので、
この記事では、それぞれAdmiral=提督 
Fleet admiral=艦隊提督にしてあります。

ちなみに陸軍&空軍と海軍で将軍の呼び方は違うものの、
そのエラサを現す星の数はどちらも一緒で、
元帥&艦隊提督が五つ星、大将&提督が四つ星で、
以下は中将が三つ、少将が二つ、准将(じゅんしょう)が一つ星です。
何度も書いてますが、五つ星は戦時および、戦時に功績があった
将軍に対してのみ与えられるので、
通常時はどの軍でも四星までが最高階級となります。

ちなみにハルゼーが五つ星、艦隊提督(Fleet admiral)になるのは
戦後になってからなので、1944年の段階ではまだ四星の提督でした。



さて、そこから外に出て、いよいよ艦橋に向います。
まずは下の階、艦隊指揮用の艦橋から。



で、先に見たように艦隊指揮用艦橋には正面の窓が無く、
中に入ると真正面に例の装甲司令塔の後部がデーンと見えてます。
ちなみにここの正式名称はAdmiral's Flag Bridgeで、
提督旗艦艦橋、といった意味ですかね。

で入って直ぐのとこにイスがあってなんだこれ、と思ったら床に五つ星(笑)。

さすがにこれは博物館になってから塗られたのだと思いますが、
五つ星席、すなわち艦隊提督席、という事です。

ちなみに、先に見たように地元の人、という事もあって
展示ではハルゼーがクローズアップされてますが、
調べてみたらハルゼーの前に
1944年2月からスプールアンス提督がこの艦を旗艦にしてます。
提督昇進直後の2月から5月まで、いつもの重巡インディアナポリスではなく、
このUSSニュージャージーを使っていたようです。

が、5月にハルゼーにこの船を譲ると、
彼はまた重巡インディアナポリスに戻ってしまいます。
さらに終戦前日に、再びスプールアンスが移って来るのですが、
当然、戦闘はなく、そのまま終戦となってしまいます。

なので、太平洋戦争のアメリカ側二大提督が旗艦にした戦艦、
という事になりますね、USSニュージャージー。



その提督席からの眺め。
ちなみに窓ガラスあり。
大戦期にはこの第二主砲塔の上に40mm 機関砲銃座が乗っていたため、
おそらく今よりさらに視界は狭かったはず。
まあ、見えないよりはまし、というところでしょうか。

ちなみに主砲後部上面にチョコンと出っぱってるのは
砲塔内部から外部を見るための潜望鏡です。

日本人としては、ここでハルゼーが、
Kill jap Kill jap !(日本野郎を殺せ!)とか叫んでたのかなあ、
と思うとやや複雑なものがありますが…。



が、その奥はこんな感じで、これってただの通路ジャン、という感じ。
どこが艦橋だと思ってしまいますが、本来は左の装甲司令塔の中に
そのための部屋がある他、右の壁の奥にも、
艦隊司令部用の部屋があったようです。

が、どちらも見学は不可となっており、ちょっとガッカリ。


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