■大図解!入場料21.95ドル戦艦 USSニュージャージ-
前回の記事を書いていて、部分部分で説明しても、
イマイチわかりにくいと思われたので、
一度、全体画像でまとめて説明してしまおうと思います。
それって旅行記なのかという気もしますが、脱線はいつもの事だぜハニー。
ちなみに前回の記事で書き忘れたのですが、
アイオワ級の中でもUSSニュージャージーは他の3隻に比べ数フィート、
艦の全長が長いそうで、よって世界最長の戦艦なんだとか。
初めて知りましたよ。
さて、最初は1943年5月に艦隊デビューした当時からの兵装を見ます。
(ただし実戦投入はさらに半年近く完熟訓練の後。米軍、余裕なのだ)
写真の番号ごとに紹介しますよ。
■1 16インチ(40.6cm)三連装 主砲砲塔
a〜cの順に第一、第二、第三砲塔で、各3門ずつ計9門、
16インチ(40.6cm)とういう戦争でもやる気かってな巨大な砲を搭載しています。
ただし、後部の第三砲塔は写真では見えておりませぬ。
主砲周りは後で見て驚く(笑)射撃管制装置を含めて
ほぼ第二次大戦期のままですが、当時は第二&第三砲塔の上に
連装40mm機関砲×2(計4門)の銃座&射撃管制装置が設置されてました。
これは後からの改造ではなく、最初の儀装段階で付けられてます。
これらはベトナム戦争で復帰した段階で撤去されました。
第二砲塔のアップ。
そもそも戦艦の存在意義は、この暴力的な破壊力を持つ
巨大な大砲を海の上で持ち歩く、という点にありました。
2000人近い乗組員は、この砲の射撃のために存在し、戦艦の巨大な船体は
この砲を運用するのに必要な大きさから求めれたものなわけです。
が、当然、敵も戦艦をもってるわけで、となると攻撃だけでなく防御も必要になります。
このため、戦艦の各部には凄まじいといっていい装甲が搭載されており、
この主砲砲塔も戦車なんざ裸足で逃げ出す重装甲になってます。
アイオワ級の場合、砲塔前面装甲は先に見たように約430mm、天井部が約184mm、
側面が約240mmあったとされますから、全部でどんだけ重いんだという感じです。
ちなみに土台の砲座部(barbette/バーベットとそのまんまカタカナ表記にされる事も多い)
は先にも書いたようにこの下の船内四階層分に及ぶのですが、
その部分にも装甲があるようです。
この砲と砲座部はあまりに重いため、艦本体に対する固定は極めて簡易で、
ほとんどその自重で取り付けられてるのが普通です。
このため転覆沈没すると、これがズリ落ち艦本体とは別になって沈む事が多くなってます。
参考までに、第二次大戦時の戦艦主砲の砲弾は700kg〜1tほどで、
これを放物線状に撃ち上げ、上空から落下する形で命中させて目標を破壊します。
が、この時期になると航空機のエンジンが1000馬力を超え始め、
そのくらいの重さの爆弾を単発の小型航空機で運べてしまえるようになるのです。
つまり何十機と搭載された空母艦載機に戦艦主砲並の
破壊力を与える事が可能になった、という事です
だったら、相手の主砲の射程距離のはるか外から攻撃でき、
パイロットが至近距離から狙って落とす以上、
はるかに高い命中率が期待できる艦載機と空母の方が強いじゃん、となり、
あっという間に空母の時代が来てしまいます。
艦載機ならより強力な、至近距離からの雷撃、魚雷攻撃も可能ですしね。
(密度の高い水中での衝撃波は、はるかに強烈な破壊力を持つため、
同じ炸薬の量でも、魚雷の方が格段に強力となる。
うまくやれば数発で戦艦を沈める事ができるのだが、
当時まだ追尾魚雷は実用にはほど遠く、となると速度が遅い魚雷は、
よほど至近距離で、複数撃たないとまず当たらない)
さらに戦後は誘導ミサイルまで出てきてしまうわけで、
命中率の低さが致命的(実戦だと5〜10%…)な戦艦主砲は使い道がなくなります。
ちなみに、現代の誘導ミサイルでも戦艦を沈めるのは困難ですが
艦橋さえ確実に吹っ飛ばしてしまえば、
その戦闘能力はほとんど失われるので、それを狙える誘導ミサイルなら、
それだけで十分でしょう。
■2 5インチ(127mm)砲の2連装砲塔。
主砲に対して副砲(Secondary
guns)という扱いになるようです。
片側3つ、両側で6つ、よって計12門が搭載されてます。
基本的には対空砲ですが、近距離に接近してきた
駆逐艦などに対する攻撃も担当しています。
元は左右で各5つ、計20門がつまれてたのですが、
1982年の近代化改装で片側2つずつが外され、計12門に削減されてます。
ついでに大戦期には、この周辺に40mm&20mm機関砲の
銃座が密集してたのですが、それらも全て取り除かれてしまってます。
ただしこちらは例の艦首部の40mm砲座とあわせ、
1967年にベトナム参戦のために改修された時、撤去されたもの。
ちなみにこの作業もフィラデルフィアの海軍工廠で行なってます。
おおよそ10q以内の近距離に接近してきた小型艦や
航空機を攻撃するのがこの5インチ連装砲でした。
(視界をさえぎるものが無い海上戦では、10qは近距離なのだ)
下の砲台座部分には砲塔回転用の機構部が入ってるはず。
副砲といっても、ヘタな現代戦車砲より大きな砲を積んでるわけですから、
戦艦の持つ破壊力がよくわかります。
現在の展示では横を向いてますが、航行中は片側2〜3門が進行方向正面、
残りが後方を向いてる場合が多いです。
ちなみに有人砲ですから、操作員が奥に見えてる艦橋横の通路から乗り込むのですが、
砲がどっち向いていても出入りが可能なよう、装甲の横と背後の両方に出入り口があります。
搭載されてるのはMk.12という5インチ38口径タイプの砲で、1934年に採用されたもの。
これは戦後もアメリカの駆逐艦や海上自衛隊の護衛艦に採用されたため、
1990年ごろまで世界中で現役だった傑作砲でした。
ちなみにこの5インチ 38口径というのは、砲口の口径が5インチ(12.7cm)で、
砲身はその38個分の長さ、つまり190インチ(483cm)ですよ、という意味です。
火薬の爆発圧力を完全に利用するには長い砲身の砲が有利なのですが、
撃ち出す力が大きければ当然反動も大きく、さらに重量も重くなるので、
そこら辺りは用途によって決められる要素となります。
とりあえず基本的には砲身の長さを示す口径では数が大きいほうが強力です。
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