■砲船
お次は砲艦フィラデルフィアの展示。
1776年11月、独立戦争中に沈められた同艦を
引きあげて展示しているのがこの部屋です。
現役時代の模型。
当然、帆船ですね。
この砲艦フィラデルフィアは、1776年の11月、
ニューヨークの北にあるチャンプレイン(champlain)湖で、
カナダから川沿いに南下してきたイギリス艦隊と
砲撃戦を行なって沈められた砲艦なのだとか。
川での艦隊戦とかいうと日本人には意外な感じがありますが、
アメリカでは南北戦争の時もやってます。
後に1935年に引き上げられたようなんですが、
個人所有でアチコチに展示された後、
1961年にスミソニアンに寄贈されたのだそうな。
主に河川や湖で使われたらしい小型な軍艦で、
全長は16mほど、主な武装は主要の12ポンド砲×1と
副砲の9ポンド砲×2のみになっています。
ちなみに、これを沈めたイギリス側の主砲弾は24ポンド砲だったそうなので、
そうとう強力な相手だったみたいですね。
ちなみに主砲の12ポンド砲はこんな感じで艦首に固定です。
…これって常に相手に船首を向けねばならず、
帆船ではかなり大変な操艦になったような気もしますが…。
ちなみに右下に見えてるのは棒付き砲弾(Bar
shot)で、
二つの砲弾が棒でつながれたものです。
これを主砲から打ち出すと
回転しながら飛んでゆき、帆船の帆に大きな穴を開けたり、
ロープに絡み付いてこれを切断したりするのを狙った弾です。
ただし、グルグル回転してしまうため、まっす飛んでゆく事は期待できず、
よほど至近距離で無いと当たらなかったようですが。
ちなみに似たような砲弾に鎖付き砲弾(Chain
shot)というのもあり、
同じような効果を狙って使用されます。
これ、話には知ってましたが、
実物は初めて見た&独立戦争で使ってるとは知りませんでした。
で、普通に考えると、これを甲板に撃ちこめば
多数の人員をなぎ倒してしまいそうですが、
狙ったとこに飛んでゆく保証がない特性のため、それは困難だったそうな。
よって、どっかに当たるだけで大損害を与えれらる、
帆やロープの切断用になったみたいです。
全体的に狭い部屋の上、照明が暗いので撮影には苦労します。
左右を向いてるのが副砲の9ポンド砲なんですが、
左右に各1門ずつ、となると、基本的に主砲と同方向に撃つ事は不可能で、
この艦、あまり攻撃力は高くなかったような気がしますねえ…。
ちなみにボストンで見たアメリカ海軍最古参艦、
USSコンスティチューションは1797年製ですから、
展示のフィラデルフィアとは約20年ほど若いだけです。
で、こちらはボロボロの状態で歴史的遺物として博物館に入り、
あちらは現在でも搬送可能な現役艦と考えると、
なんだかスゴイ話だなと思ったり…。
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