■次は世界だ



で、お次は第一次世界大戦へ。
途中からとはいえ、アメリカも結構本格的に参戦してるんですが、
その扱いは極めて小さく、展示はこんな感じのものだけで終わりです。



左端がアメリカ口径の0.3インチ(7.62mm)1915年式水冷ヴィッカース機関銃、
右奥が同口径のルイス機関銃Mk.VI(6)、その間の砲弾はフランス製75mm砲のもの。

その右は第一次大戦時からこのデザインだったドイツの手榴弾。
おそらくより遠くまで投げれるように取っ手をつけたんでしょうが、
生産性は、あまりよくないような気がしますねえ…。
ちなみに連合国側の兵士は、この形の手榴弾をカメ(Turtle)と呼んでいたそうな。



で、お次は当然、第二次大戦。
まあワルワル枢軸国3人組、という感じで日独伊が並んでおりますが、
左端の障子にはどういった意味が…。
日本的演出、なのかなあ…。

ちなみにイタリアのムッソリーニ、ドイツのヒットラーは両者とも政治家で、
そしてファシストですが、東条英機はちょっと微妙でしょう。

そもそも、この人はしがない軍人に過ぎず、
軍から政府に出向していた状態で総理大臣になった人です。
陸軍大臣を兼任した結果、政府内の権力掌握はしたものの、
とても独裁者と呼べる実力も能力も根性も無かった人で、
そもそも1944年の夏にクビになってるんですよ、この人。

民間人であり、すなわち文民統制で軍を押さえ込んだ独裁者である
(実はこの点、敵のスターリンとルーズベルトも同じだ)
ヒットラーとムッソリーニと比べて、ケタ二つくらい小さな人物で、
どう考えても並べて展示するのは無理があるでしょう。

日本は特定の独裁者の暴走で戦争に突っ走ったのではなく、
軍を中心とした漠然とした集団の暴走の結果ああなった国なのです。
まあ、こうした展示にした方がわかりやすいんだとは思いますが…。

ちなみに第二次大戦を通じて、軍人が国家権力の中枢に居座るという、
どこの発展途上国だ、という体制で戦った主要参戦国は日本だけです。
トホホ…。



各国を代表するものが一緒に展示されているのですが、日本はこれ。
6.5mm 38式歩兵銃と指揮官用の日本刀。

で、一番上の国旗はおそらく出征の時に渡された寄せ書きのもの。
これがここにある、という事は持ち主がどうなったか…と考えると
なんとも重い気持ちになりますが、アメリカでもイギリスでも、
こういった日の丸への寄せ書きが実によく展示されてます。

英米の兵隊は、戦場からやたら記念品を持ちかえるというクセがあり、
おそらく日本軍側が全滅した後、その宿営地から、
いかにも日本らしいものとして、持ち帰ったんでしょうね。

ちなみに日本の兵器を鹵獲したときに、周囲に歩哨が立ってる写真がありますが、
あれは別に日本の最新の軍事機密を死守するのだ、
というのではなく、夜中とかにやってきて、こっそり外板を
引っ剥がして持ち帰っちゃう連中がいくらでもいたからの警戒です(笑)。



ちなみにドイツの展示はスケールが違う、
という感じでなんと元帥杖です、これ(笑)。

軍人としての最高地位である元帥に昇格すると与えられるもので、
かつての指揮杖の名残りでしょう。
公式な席には、つねにこれを握りしてめて登場するのが
ドイツの元帥なのです。
ちなみに英語だとField marchal's batton で、元帥バトンという、
なんだかマジカルな響きの名称となってます。

掃いて捨てるほど居ると言っていい第二次大戦期のドイツ陸軍の元帥ですが、
よく見ると杖の下部に“omberg”の文字が見えるため、
最初のヒトラー内閣で国防大臣を務めた
ブロンベルク(Werner von Blomberg)のものでしょう。
正直、誰だそれって人で、なんで元帥なんだかよくわからん人です(笑)。


ちなみになぜかアメリカは
ゲーリングの“国家元帥”の白いバトンも持ってまして、
こちらはウエストポイントの士官学校で展示されていたはず。


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