■シカゴ1950



さて、その先には木の床の鉄道ホームのようなものが。
これはシカゴの高架鉄道(CTA)のループ地区の駅の再現展示、しかもアメリカにおいて
夢のように素晴らしかったとされがちな1950年代の再現です。

ちなみに軍事面からアメリカの歴史を見てきた(F-22への道参照)人間としては、
1950年代はアメリカ史における最も異常で、最も狂っていた時代なんですけどね(笑)。

シカゴの高架鉄道は2008年のアメリカ空軍博物館行きの時に少しだけ乗ってます。
市内中心部で、東西南北から来た路線が合流して
環状線になってグルグル回る部分(実際は四角形に近いが)、
ループと呼ばれるエリアの駅の雰囲気は今でもこんな感じでした。



こちらは1959年から30年近くシカゴの高架鉄道で使われていた車両だとか。
シカゴの鉄道がこんなピカピカの状態で運用されていたわけありませんが(笑)、
とりあえず、当時のまま再現されてるらしいので、中を見てみましょう。



こんな感じ。
都市交通なんですが、横一列ではなく、対面式の座席です。
なぜかアメリカの地下鉄は対面式座席が多く、
シカゴ、ワシントンDC、フィラデルフィアとどこも対面式でした。
これがアメリカ式の地下鉄の特徴…といいたい所ですが、
実はボストンは横一列式で、どうも皆さん好き勝手にやってるだけ?

参考までにアメリカ以外だとパリの地下鉄が対面式なものの、
その他の国々、ロンドンや中国、韓国、香港は横一列式となってます。

で、何度も書いてるように、車内吊り広告は
日本以外の電車に存在しないのですね。

ついでに、やけに車内が暗い印象があります。
観光客としてはあまり乗りたくないなあ、という印象。

ちなみに、街灯と犯罪の発生率の関係は1970年代にアメリカのアトランタで
街灯の明るさ(照度)を4倍にする、
というい豪快な実験が行なわれた事があり、
なぜか昼間の犯罪(強盗、窃盗犯)が減少して、夜の犯罪が増加する、
という妙な結果が得られています。

この結果、どうも意味が無い、とされたのですが、
1990年代に入ってイギリスで改めて実験が行なわれたところ、
昼間も夜間も犯罪が減少した、という結果が出ており、
どうもここら辺り、細かい条件によってかなり結果が変わる感じですね。



車内の広告なんかも1960年代当時のまんま再現されていて、ちょっと興味深いです。

左は左側のNOの字が切れてしまってるので、
一見、喫煙してね、に見えちゃいますがNo Smoking で禁煙の告知です。
車内での喫煙は市の条例で禁じられており、
とても危険で、他の人への思いやりに欠けます、といった事が書かれてます。
さすがに1960年代では、健康の問題よりも
安全(火災と周囲の人のヤケド)が中心問題になってるようです。

右はフルーツガムの広告なんですが、文章の内容はとても美味しいよ、
という程度のもので、左右の人物の意味がよくわかりまぬ。
まあ、今でもこういう意味の無い広告はいくらでもありますが…。



この車両、一番奥はスクリーンになっており、
そこに1950年代後半と思われる衣装を着た皆さんの車内での映像が流れます。
駅ごとに人が乗ったり降りたり、当時の雑誌を読んだりしていて、
結構興味深いもので、しばらく見ていました。

ちなみに、左側の人物を見るとわかるように、
1950年代まで男性のビジネススーツに帽子は必須でした。
この後、1960年代に入って急速に消えてゆくのです。



ホームの端にあった謎の赤箱。
ポストかと思ったんですが、アメリカのポストは青いはず。

で、よく見るとVALIDATE TRANSFERS なる文字が。
直訳すると乗換を有効にせよ、で、どうもこの機械でスタンプを
キップに押すと乗り換えのための改札通過ができるみたいです。
もっとも、Ticket ではなく Map を入れろ、と書いてあるあたり、
どうもよくわからない部分ですが…。

はい、という感じで今回の本編はここまで。
次回は、車で移動するぜ編となります。


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