■鉄と隕石と生命と
その横には見事な縞状鉄鋼床(Banded Iron
Formation)の見本が。
巨大な鉄鉱石であり、すなわち鉱床からでかい固まりのまま取り出したのが、これです。
露天掘りできるほどの鉄の鉱山、鉄鋼床の多くは、
先カンブリア紀から形成が始まるのですが、
これには地球上の生命の誕生が大きく関わっています。
当時の海中には相当量の鉄分が溶け出していました(おそらく海底火山などによる)。
やがて光合成を行なって酸素を産み出す微生物が登場すると
2価のイオン状態にあった鉄分が、酸素と結合して酸化鉄となり沈殿を始めます。
(2価の鉄イオンは水溶性が高いので水中に完全に溶け込んでしまい、単体では堆積しない)
その結果できたのがこういった鉄鉱石の鉱床で、この時代を調べることで、
いつごろから光合成を行なう生物が現れたのか推測できるようです。
ついでに赤みが強いところは酸素の含有量が大きい部分だそうで、
当然、それだけ多くの酸素が作られていた、
つまり多くの微生物が存在した、と考えられます。
この縞模様から、当時の光合成を行なう微生物も周期的に
大量発生したり、激減したりしてるのが推測できるんだとか。
下には最古の石、と書かれてますが、実際は35億年ほどまえのもので、
現在までに発見されてる中ではそれほど古いものではありませぬ。
アメリカは西海岸の砂漠地帯とテキサス&フロリダ州周辺を別にすると、
ほとんどが極めて古い地層の上に乗ってるんだそうで、
(25億〜38億年前に形成された岩盤)
35億年くらい前の石なら結構あちこちで見つかってるんだとか。
当然、その上には現代まで続く地層が乗ってるわけで、
あれだけ恐竜の化石が見つかるのも当然なのかもしれません。
ちなみに左端のはわかる人にはわかるように酸化鉄を含んでおり、
35億年前にはすでに光合成を行なう生物が居た間接的な証拠となってます。
(生物登場以前の地球上では酸素は単体ではほとんど存在しなかった)
こちらは一部で有名なマーチンソン隕石(Murchison
meteorite)。
隕石は後ほど膨大なコレクションがまた登場しますが、
1969年にオーストラリアで発見されたこの隕石は46億年前、
つまり地球がオギャーと産まれる前どころか
太陽系誕生前に形成されたもの、と見られています。
でもって、さらに重要なのは生命、有機体の発生に必要な
たんぱく質の材料である複数のアミノ酸の成分が
この隕石中から発見された、という点でした。
ここから、原始地球に隕石の形でもたされたアミノ酸などから、
生命は誕生したのではないか、という説が産まれる事になったのです。
その先はまずは海生爬虫類の繁栄の展示が。
カメは1億年ちかく昔から原型を保ってる生物の一つらしいです。
そのほかにもいくつかの化石展示がありましたが、
あまり人気がないらしく、ほとんど見学者はいませんでした。
私もざっと見ただけです…
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