■美術館と言う名の迷宮で



ここにモネの「日傘をさす女」がありました。
前回来たとき、この絵だけは見た記憶があるので、
どうも西翼ではなく、東翼をチラッと見て時間切れになったみたいですね。

私は印象派はあまり好きではありませんが、
この絵だけは結構好きです。
個人的に光と影の描写の美しい絵が大好きなんですが、
この絵は、それらがもっとも美しい絵画の一つだと思ってます。

ちなみに、モネは典型的な商売画家というか、絵の魂である構図を
いくらでも自分でコピーしちゃう、という人でした。
まあ、本人が考えた構図を自分で盗作しても論理上は問題ありませんが、
この結果、彼の代表作であるこの日傘をさす女は少なくとも3枚、
同じような絵が存在します。
さらに「睡蓮」なんて、私の知る限り日本だけでも2枚、
世界中でどれだけあるんだ、というくらいに同じような絵があるのです(笑)。

ただ1875年に描かれたとされるこの作品が、
日傘をさす女シリーズの中では、一番のできじゃないでしょうか。
何度見ても、美しい絵だと思います。



が、あっさり印象派の部屋は終わってしまいました。
あれ、これだけ?と思ったのですが、実は順路を間違えたようで、
後でまた印象派の部屋に再突入する事になります。

で、再び主廊下に戻ったのですが、まだ開館から20分ほど、
ほとんど人が居ないため、まるで貸切だな、と思う。
右側に見えてる黒服の人は例の巡回館員さん。

ビシっと黒いスーツで決めてる上、背の高い黒人の人が多く、
世界一カッコいい美術館職員の皆さんだと思います(笑)。




その先はまた肖像画の世界が。
どれも技術は見事なものですが、感心はしても感動はしない、という典型的な絵たちでした。



どんどん奥に入ってゆくと、またも迷宮のような空間となって行きます。
そして明らかに狙って、こういった配置で絵が置かれており、
建物と絵、両方あわせて一つの作品、という空間が広がってました。
美しいと思います。




おそらく近年に改修されたのだと思いますが、
東翼の奥の部屋は、それぞれが落ち着いた配色の壁となっており、
手前の部屋から奥を見ると、絶妙な配色で空間が広がります。
現在、例によって少々、順路を見失って迷走してますが(笑)、
楽しくてしかたない、という感じでした。

色彩の空間の中での、美しい迷走。


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