■それは不思議なバスで
この空港からワシントンD.C.まで移動したことがなかったのですが、
事前で調べた限りでは地下鉄の駅まで、
専用のバスが30分に1本程度あるとの事。
案内板にある、WASHINGTON
FLYER BUSってのがそれかな、
と思って案内の通りに行くと、ここにたどり着く。
矢印の先に行くと、切符売り場があったのですが、
全身全霊、やる気がありません、というインド系のアンちゃんが、
スマートフォンで遊びながら、ブースの中に座ってる。
「すみませんアルヨ」と声をかけると、たっぷり5秒以上たってから、
「アロー」としり上がりなインドなまりの英語が返ってくる。
ああ、ロンドンでもこの英語に散々、悩まされたんだよなあ、と思いながら、
「地下鉄の駅まで、このバス、切符買いたいアル」
というと、しばらくスマートフォンの画面を眺めたまま、
「次は15分後。10ドル」
それだけ言って、あとは何もなし。
しかたないので、10ドル札を出すと、引き換えに切符を渡される。
「乗り場はどこアルか?」
と聞くと、これまたたっぷり5秒以上待たされてから、
「そこの出口を出て左」
とだけ言われる。
アメリカのサービス業の態度の悪さには慣れてるつもりでしたが、
ここまでひどいのはさすがに初めて(笑)。
少なくとも、10ドル以上取られるサービスで、こういった受け答えは、
未だにこれが最初で最後でした。
さらに言うと、この後、混沌のインドラッシュin
USAという状況に
追い込まれて行くことになります…
現在時刻はすでに7時を回ってるのですが、
サマータイムのおかげで、まだぎりぎり夕焼けの時間帯でした。
で、教えられた場所に言ってみると、確かにバス停はあるものの、
他に待ってる人が誰も居ない。
奥に見えてる人たちも、このバスの乗客かな、と思ったんですが、
彼らは次々と出迎えの車に乗って立ち去ってしまいました。
あれ、バス停、ホントにここでいいの?とちょっと不安に。
ちなみにバス停の横の小さいバッグが、今回の旅行の全荷物。
後はカメラと地図などを入れたナップザックだけですから、
これしか持ってない人間を、なぜアメリカの税関は
毎回疑いやがるのか、と改めて思う…。
が、そのあと5分もせずにバスがやってくる。
なかなか立派なバスです。
5万ドルのキャデラックに乗ってラスベガスに行き、
10万ドルの長距離バスの乗って帰ってくる、
というアメリカの小話を、ふと思いだす。
そして、この瞬間、太陽が最後の一瞥を投げかけて、
まさに水平線に消えようとしてるのでした。
これにてロンドン以来となる、日没後、見知らぬ街を歩いて
ホテルまで行く事が決定。
治安はいいエリア、というのは確認しているものの、
それでもちょっとトホホと思う…。
で、バスに乗って驚く。
これだけのバス、アメリカでもかなり大きな空港であるダレスからのバスにもかかわらず、
なんと乗客は私と、機内乗務員らしき黒人女性が一人きり。
ええ、こんなもんなの、と思ったんですが、
後日、4ドルも安い6ドルの運賃で、しかもD.C.中心部まで乗り入れてる
公営バスがあるのだ、という事を知り、なるほどと思うことに。
正直なところ、わざわざ利用する理由は何もない、というくらい
なんのメリットも無いです、この空港バス(笑)。
誰も利用しないわけだ…。
が、この段階ではそんな事は全く知らなかったので、
このままどこかの強制収容所とかに送り込まれたりしないだろうな、
と妙に疑心暗鬼になりながら着席(笑)。
で、この運転手さんも、またもインド系。
さらにスマートフォンをスピーカーにつないで、インドの歌謡曲というか、
インド演歌みたいな曲をガンガンにかけながら乗り込んでくる。
自由な職場の気風というか、やる気がないというか、
大丈夫なのかこのバス、と思うも、まあ運転さえちゃんとしてくれれば…
と思ったら、このインド人運転手さん、なんと曲かけっぱなしで発車し、
さらに最後までそのまんまでございました。
香港でもロンドンでも、バスは常に一番前の席、をモットーにしていた私は、
当然、ここでも最前列に座った結果、アメリカンなフリーウェイを
インド演歌の演奏をバックに爽快に走り抜ける、
という類まれなる経験をするはめに(笑)。
未だに目をつぶると、夕暮れ時のヴァージニア州の田舎道と、
インドのハイテンションな女性ボーカルの声が脳裏によみがえってきます…。
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