■無念の駆逐艦



もう少し近くから。

1943年竣工の大戦期の駆逐艦と言っても、
その後、1960年まで現役で使われていたため、
大幅な近代化が行なわれており、大戦期の駆逐艦としては
全体の雰囲気をとどめるだけ、という感じにはなってます。
(ただし終戦後の1946年3月〜1951年9月の間、朝鮮戦争中に
現役復帰するまでは、保存艦として半退役状態にあった)

それでも艦の大きさや主武装などはそのままですし、
意外なところで古い装備をそのまま使ってたりするのです。
ちなみに現地で見た説明だと、
1950年代初期の装備で再現されてるとの事でしたが、
実際は1955年あたり以降の装備になってます。

ちなみにUSSカッシン ヤングは大戦中に2回も神風攻撃を受けている、
という変わった経歴も持った艦でもあります。

まず、空母機動部隊のレーダー対空警戒任務についていた
1945年4月の沖縄戦の時、最初の神風攻撃を受けています。

4月12日、マストに引っかかる形で艦上わずか15m(50ft.)
の位置で神風特攻機が爆発したのですが、
この時は死者1名、負傷者1名だけで切り抜けてます。
軽微な損害だったので現地の修理で31日には戦線に復帰したようです。

その後、輸送部隊の護衛についていた6月29日
再度神風攻撃を受け、今度は艦体を直撃された結果、
22名の死者と45名の負傷者を出しています。

が、それでも自力で航行し、その後の修理で
8月には再度戦線に復帰してますから、
よほど設計が頑丈だったのか、ダメージコントロールが見事だったのか。

ついでに、このUSSカッシン ヤングの所有者は未だに海軍らしいのですが、
1974年から無期限貸し出しという形で
海軍工廠跡を管理する国立公園公共事業団(National Park Service
が引き取り、その後1番ドックで全面改修を受けて
1981年からこの場での展示を開始したのだとか。
ちなみに兵器類もホンモノがそのまま搭載されています




少し後ろに回ってみる。
艦体は長くて大きいものの、艦上構造物は少なめな印象で、
その分、排水量では軽くなってるんでしょうか。

でもって、お、乗艦歓迎という垂れ幕のさがった乗降用の階段がある!
しめた、乗れるみたいだぜ、とそちらに向ってみると、
あれ、鎖で入り口が塞がれてる…。

そこに居た退役軍人(ベテラン)のボランティアらしき人に
中に入れるアルか?と聞いてみると、
今日はまだ閉めてるんだよ、と答えられる。
…あれま。
せっかくここまで来たのになあ、と思うも
それじゃあしょうがない。

とりあえず、外から見える部分だけでも見ておきましょうか。



この艦の見学で一番期待していたのが、
こういった艦橋の上部分、
レーダーおよび射撃管制装置などです。

1951年の現役復帰後、かなり改修されてしまってますが、
それでもかなり古いタイプのものが残っており、
今までアメリカ海軍の古いレーダーの
現物を見た事がなかった身としては
とてもありがたいものとなってます。


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